平成29年第1回古河市議会定例会「施政方針」(平成29年3月1日)

更新日:2020年11月30日

 平成29年第1回古河市議会定例会の開催にあたり、市政運営の基本方針ならびに施策の一端を述べさせていただきます。

はじめに

 本年は1月6日に日野自動車古河工場が全面稼働し、また、圏央道の茨城県区間が2月26日に全線開通するという本市のまちづくりに大きな影響を与えるニュースから始まりました。
 自動車産業の進出と圏央道の開通という本市の未来に大きなインパクトを与える機会を最大限に活用するため、立地の優位性を生かした関連企業の誘致活動を積極的に行っていくとともに、地元雇用の創出や、地域経済の活性化を図ります。
 本市は歴史、伝統、文化などの特性を大切に受け継ぎながら、まちづくりの礎を築いてきました。
 私は本年を「未来の古河市を築く飛躍の年」と位置付け、さらなる魅力あふれるまちを創造していく決意を胸に、職員とともに、市民の皆さまや議会のご協力を賜りながら、明るい未来を見据え全力で市政運営に努めてまいります。

市政運営の基本方針

 厚生労働省が実施している人口動態統計の年間推計によると、平成28年は、出生数が統計開始以来初めて100万人を割ると発表されています。本市においても、合併時と比較すると明らかに人口が減少(約4,000人)し、少子高齢化(高齢化率26.4%)が顕在化しています。
 私は、「持続可能な都市」を構築するため、今後の方向性を示す羅針盤ともいうべき「第2次古河市総合計画」「古河市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を基本として、未来のまちの姿「華のある都市古河」の実現を目指します。
 本市は、商工農の産業バランスが良い市であり、この魅力を維持しながら発展していくことが古河の強みとなります。
 恵まれた産業構造を基盤として、子育てがしやすい、働きやすい、老後が暮らしやすい政策を実行し、特定の年代に偏らないバランスの取れた快適で住みよいまちを創ります。
 さて、経済の動向を見ますと、国の経済政策の推進もあり、内閣府の1月の月例経済報告では、「一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」との判断が示されています。しかしながら、景気の回復を国民全員が実感しているとは言い難く、先行きの不透明な状況は依然として変わっておりません。
 本市の財政に目を向けますと、社会保障給付関係経費の増加、都市基盤整備、老朽化した公共施設等への対応など多額の財政需要が想定されるなか、地方交付税については、合併特例措置額の段階的な減額により、4年後の平成32年度には、約10億円もの大幅な減収が見込まれることから、引き続き健全な財政運営が必要不可欠となっています。
 こうした状況を踏まえ、当初予算の編成にあたりましては、中長期的な財政構造の変化にも柔軟に対応しつつ、本市のさらなる飛躍と発展のため各施策の着実な推進に努めたところです。
 組織体制につきましては、職員数の減少や行政需要の課題が複雑・多様化する中で、より効率的な行政運営が求められており、それらを踏まえながら、市民サービスの向上と業務間の連携を図る観点で組織の改編を行います。
 なお、「新市建設計画」の先導的プロジェクト等を推進するため、プロジェクト推進室を設置いたします。
 私はこれからの4年間「市民と共に未来に誇れるまちづくり」を念頭に、市長選挙の際に掲げました5つの約束の実現に向け、積極果敢に全力で取り組んでまいります。

主要な事業

 続きまして、平成29年度の主な施策について、ご説明いたします。

第1に、【市民協働】についてです。

 住民自治の推進につきましては、市民が主体となる住民自治のまちづくりに向け、自治組織に対する財政的支援を行います。積極的に事業を行う自治組織の育成を図るため、地域づくり活動支援補助金を交付し、住民自治活動の活性化を促し、市民主体の地域づくりを支援します。
 地域コミュニティの活動につきましては、市民主体の地域活動が活発に行われるとともに、地域の実情にあった地域づくりとさまざまな課題解決に向け、若者や子育て世帯なども含めた幅広い年代が活動に取り組めるよう支援します。また、市内全域でコミュニティ活動の推進が図れるよう、全地区コミュニティを対象とした「古河市コミュニティ推進協議会」の組織化に向け準備を進めます。
 すべての男女がお互いの人権を尊重しつつ責任を分かち合える男女共同参画社会を実現するため、「第2次古河市男女共同参画プラン」のもと、ワーク・ライフ・バランスの推進や政策、方針決定の場への女性参画を促進します。市民・事業者・団体等と協働し、性別にかかわりなく個性と能力が発揮され、心豊かに暮らせる社会を目指します。

第2に、【健康福祉】についてです。

 子育て支援の拠点となる施設整備として、旧日赤病院跡地に上辺見保育所の移転建て替えを進めています。平成28年4月以降、待機児童数が増加していることを踏まえ、定員規模を現行120人から最大180人の受け入れができる施設規模に拡大することで、待機児童の解消に努めます。
 地域・家庭と連携した学校運営と子どもの居場所づくりのため、狭隘な状況下での利用となっている仁連小学校児童クラブの改修工事を行い、児童の安全確保と健全な育成を図ります。
 市独自の医療費助成制度であるマル古につきましては、給付対象者を含め制度について検証、検討し、今後も子ども、若者に対する医療費負担の軽減を図ります。
 妊娠から出産、子育てまで切れ目のないサポートを行うことを目的に、さまざまな事業を実施しておりますが、さらに支援の必要な妊産婦を対象とした参加型のサポート事業を実施することで、より細やかな育児支援を行います。
 高齢者が要支援や要介護状態になっても可能な限り住み慣れた地域で、安心、安全に暮らすことができるよう、地域の実情に合わせ「第7期高齢者福祉計画および介護保険事業計画」を策定します。
 介護サービスと相談、支援体制の充実を図るため、介護保険事業の予防給付のうち「介護予防訪問介護と介護予防通所介護」を総合事業の「訪問型サービスと通所型サービス」に移行し、これまでの全国一律の基準から、新たに地域の実情に応じて取り組む事業として立ち上げます。

第3に、【教育文化】についてです。

 新しい学びに求められる教育活動の実現を目指し、英語教育の充実や学校施設の非構造部材耐震対策を進めるなど施設の安全対策の充実と維持管理に努めるとともに、家庭や地域と連携した学校運営を進め、安全、安心な教育環境を整えます。
小学校では、教育課程特例校(英語特区制度)の指定を受け、小学校1年生から音声を中心とした英語活動を展開します。これにより、幼少期から中学校まで途切れのない英語活動が実施され、グローバル社会を生き抜くためのコミュニケーション能力の基礎を育成していきます。
 ICT機器を授業に活用することにより、児童生徒同士、教師と児童生徒との双方向での情報交換を可能にした最先端の教育環境で授業を展開しています。児童生徒の考えや思い、やる気を引き出し、主体的に学ぶ授業づくりに努め、学力の向上を図ります。
 昨年10月に開講した古河市民大学では、市民に多様な学習機会の提供と学習支援を行い、生きがいと地域への愛着心を育み、魅力あるまちづくりへつなげていきます。歴史文化や子育て、地域の魅力発見などの講座を開催するほか、防災や消費者教育といった市民への情報発信の場としても活用します。
 学習と交流の場として整備を進めている二つの交流センターにつきましては、閉館した古河勤労青少年ホーム跡地に工事を進めてきた(仮称)市民交流センターの本体工事が12月に終了し、3月25日のオープンに向け準備を進めています。正式名称は「古河市駅西地域交流センター」に、愛称が「いちょうプラザ」に決定しました。
 また、(仮称)三和地域交流センターにつきましては、平成30年9月のオープンに向け、建設工事に着手します。
 中央運動公園陸上競技場は、建設から30年余りが過ぎ、トラックやフィールド等の摩耗や劣化等が目立つ状況となってきています。
 この競技場は、日本陸上競技連盟の公認を受けており、毎年多くの陸上競技大会が開催されています。陸上競技の練習ならびに競技会の運営が支障なく行われ、樹立された記録が十分に信頼し得る施設として引き続き公認を得られるよう全面的な改修を行います。

第4に、【産業労働】についてです。

 日野自動車古河工場が本格稼働したことに伴い、関連企業の移転がさらに活発になることが見込まれます。企業立地促進奨励金による誘導策のほか、規制緩和なども検討しつつ、関連企業や地元雇用の期待できる企業を優先して企業誘致に取り組みます。
 また、企業誘致に伴う定住促進のための定住促進奨励事業につきましても、日野自動車古河工場の本格稼働に伴い、さらなる転入を促進するため、事業期間を延長して取り組みます。
 観光振興につきましては、年間を通してさまざまなイベントや祭りを開催することで、県内外へ古河市をPRし、交流人口の拡大および市内回遊の促進を図ります。加えて「古河市フィルムコミッション」により映画やドラマ等の撮影を誘致し、文化、観光の振興を図るとともに、ロケ地観光という、観光面での活用に力点を置いた取り組みを推進し、地域活性化につなげます。
 市内商工業振興のため、市街地の活性化および地域資源を最大限に活用した個性あふれる魅力あるまちづくりを進めます。各商工業団体と連携し、元気を生み出す産業の振興に努めます。
 農業を取り巻く環境につきましては、アメリカ大統領のTPP協定離脱の方針により、不透明さが増しております。今後は安心、安全な地場農産物のブランド化や知名度向上、イメージアップの推進を図り、積極的に販路を切り開くことが必要です。担い手となる認定農業者の育成、確保と将来の農業を支える新規就農者等の育成、支援を図り、若者にとって魅力的な職業となるよう、生産、出荷だけでなく加工、販売まで行う6次産業化への支援を推進し「儲かる農業」づくりを進めます。
 また、地域の営農戦略として定めた「産地パワーアップ計画」に基づき、農業者が創意工夫を生かして、高収益な作物、栽培体系への転換を図る取り組みに対し必要な施設整備等を支援します。

第5に、【生活環境】についてです。

 市民が安心して暮らせるまちづくりのため、西口中央町広場隣接地に常備消防施設を計画的に整備します。
 市民に向けての防災対策として、新たに台風による洪水を対象としたタイムライン(防災行動計画)を公表するとともに、避難所整備や避難所開設、運営に係る市民との連携を進めます。あわせて災害時における飲料水の確保のため、三和地区に耐震性貯水槽を設置します。
 また、利根川、渡良瀬川沿岸の公共施設等に設置した38基の防災行政無線に加え、平成29年度は15基増設します。さらに、自主防災組織活動の活性化を図るため、引き続き活動に対する支援を行います。
 空き家対策の推進につきましては、地域住民の生活環境の保全を図り、空き家等の利活用を促進するため「古河市空家等対策計画」を策定します。
 安全で安心な水道水を安定して供給するため、上水道の整備につきましては、配水管拡張工事約2,900m、老朽化した石綿セメント管の布設替え工事約6,300mを実施し、配水管の耐震化を図ります。
 また、健康で快適な市民生活を確保し、河川の水質を保全するため、市内全域で約5,800mの下水道管きょ整備工事を実施します。

第6に、【都市基盤】についてです。

 平成28年度から3年間をかけて「都市計画マスタープラン」の改定作業を進めています。それと同時に、医療、福祉、商業施設等の都市施設と居住区域の集積により、徒歩や公共交通の充実化によるコンパクトなまちづくりを構築するため「立地適正化計画」も併せて策定します。
 仁連地区は、古河名崎工業団地から西に約1キロメートル、新4号国道や圏央道境古河インターチェンジへのアクセスにも恵まれています。その立地ポテンシャルを生かした土地利用を図るため、市が主体となった開発行為により工業の振興と企業誘致を進め、新たな産業拠点の形成を図ります。
 筑西幹線道路の供用開始に伴い、新4号国道柳橋北交差点から西側の柳橋下大野線において、交通量増加による渋滞の発生や、歩車道の未整備区間における自転車および歩行者等との事故の危険性が高まっている状況にあります。平成32年度の工事完了を目標に、柳橋下大野線の拡幅整備を行い、渋滞の緩和、歩行者の安全確保等、交通アクセスの利便性の向上を図ります。
 市内で運行されている「ぐるりん号」やデマンド交通「愛・あい号」は、それぞれの地区の特性に合わせて運行していますが、運行区域の拡大や利用拡大についての要望が数多く寄せられています。今後、持続可能な公共交通体系の構築、「古河市地域公共交通網形成計画」の策定に向けて、利用者や市民、運行業者等の意向調査を実施します。また「ぐるりん号」南コースで運行されているバス車両が、老朽化により運行に支障をきたしているため、新たにノンステップタイプのバス車両を購入します。
 古河総合公園において、平成23年に病気のため伐採したウメ林の再生整備を行います。また、今年度解体している三和地区のメディカルセンター跡地に、子どもからお年寄りまで幅広い年齢層の皆さんに利用していただける新たな公園を整備します。
 古河駅東部土地区画整理事業は、保留地販売促進活動や分譲方法などの見直しを行い、早期の保留地販売の促進を図り、宅地造成等の整備を進めます。片田南西部土地区画整理事業は、事業完了に向けた清算手続きを開始します。
 東北本線新駅「(仮称)南古河駅」の設置については、坂東市・五霞町・境町の4市町で期成同盟会を組織し、毎年JRに要望活動を行っており、先月2月13日にも要望のため議長とともにJR東日本大宮支社を訪問したところです。JRからは、新駅周辺の都市基盤整備や街づくりが進められることや、新規利用者による収益の確保等の条件が出されております。今後も継続して要望活動を行っていくとともに、新駅設置に関する基礎調査を実施します。

第7に、【行財政】についてです。

 人口減少や、地方交付税・合併特例債の特例期間の終了は、財政や行政サービスなどにさまざまな影響を及ぼすことが想定されます。
 今後の経済成長率や企業進出による増収分を加味した場合においても、インフラを含めた公共施設の老朽化への対応や市民ニーズの多様化などにより財政構造の質的転換が必要な時期に来ています。
 これからの行財政運営は、行政サービスの拡大による満足度の向上から、質の高い行政経営への転換が必須であり、既存の取り組みについてもゼロベースで見直しを行い、真に必要な取り組みに限られた経営資源を配分する視点を持ち、全体としての最適化を図り、市民満足度を向上させることが求められています。
  このようなことから、引き続き行財政改革を徹底し、職員の意識改革や行政事業レビューなどを推進することにより、効率的で効果的な行政経営の実現を目指すとともに、創意工夫による自主財源の確保や施策・事業の見直しなどを通じ、健全な財政を維持していきます。

むすび

 以上、新年度の施策の一端を述べさせていただきました。

 人口減少問題や少子高齢化対策など、本市が取り組むべき課題は少なくありませんが、真に市民生活に必要な行政サービスの提供を持続可能なものとするため、いかなる課題に対しても、情熱とスピード感を持って着実に対応し、本市の未来を確かなものにすることが、私に付託された責任であり、使命であります。
 古河の魅力、特徴を生かし、本市のより一層の発展のため、「対話」と「行動」を基本姿勢として市政運営に全力で取り組む覚悟でございます。
 皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げ、平成29年度の施政方針とさせていただきます。

 平成29年 3月 1日

 古河市長 針 谷 力

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