令和2年第3回古河市議会定例会「市長報告」(令和2年9月3日)

更新日:2020年11月30日

令和2年第3回古河市議会定例会の開催にあたり、古河市自治基本条例の規定に基づき、市における主要な施策及び事業等の執行状況等について、ご報告いたします。

(はじめに)

まず、7月3日から九州や岐阜、長野などの西日本と東日本の広い範囲で長く降り続いた、令和2年7月豪雨により亡くなられた方々に対しまして、心より哀悼の意を表します。また、被災された地域の皆さまにお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
日本各地で毎年のように発生するこのような自然災害に加えて、新型コロナウイルス感染症の影響も含めた、複合的な災害に対する備えの必要性について、市民一人ひとりが実感していると思います。「新しい生活様式」を取り入れた、自主防災力や地域防災力の向上、行政における危機管理体制の一層強化に努めてまいります。
さて、新型コロナウイルス感染症につきましては、6月以降、全国で再び感染者数の増加がみられ、市内においても、6月28日以降、複数の感染者が確認されています。全国では無症状の感染報告もありますので、本人の意思と関係ないところで感染し、身近な人にうつしてしまう可能性があるため注意が必要です。
そこで、いま私たちにできる感染拡大防止策の一つとして、接触確認アプリの「COCOA」や「いばらきアマビエちゃん」の登録をぜひお願いします。これらに登録すると、感染者と接触した可能性について注意喚起を受け取ることができ、さらに、事業者は感染防止対策に取り組んでいることをPRすることができます。
感染症対策と社会経済活動の両立を図るためには、感染経路が不明な感染者をなくすための努力が必要です。引き続き、市民の皆さまには「新しい生活様式」を取り入れていただき、日頃の手洗い、うがいの励行と、密集を避け、飛沫を防ぐ、一人ひとりができる行動に、ぜひご協力をお願いします。
なお、新型コロナウイルス感染症に関連して、全国各地で感染された方やその家族、関係者、医療従事者等への誹謗中傷が見受けられます。誤解や偏見に基づく差別や心無い発言は許されるものではありません。正しい情報に基づき冷静に行動していただきますようお願いいたします。
それでは、以下、第2次古河市総合計画の施策体系に沿って、主要な施策等の実施状況と新型コロナウイルス感染症対策について、ご報告させていただきます。

1 市民協働について

地区コミュニティの設立に向けて、第1地区では、6月17日に第2回準備委員会が開催され、第7地区では、7月19日に準備委員会発足に向けた話し合いが行われました。また、第2地区においては、7月に設立に向けた意識調査がなされました。引き続き、各地域に合った柔軟な形での地区コミュニティ設立を目指します。
市内の自治会や行政区等に対して、地域住民主体のまちづくりを推進しています。今年は感染拡大防止のため、イベント開催などの地域づくり事業は中止や規模縮小となっていますが、地域にある掲示板やゴミ集積所等の修繕、環境美化など地域の実情に合わせた活動が行われています。
市政について市民と率直な意見交換を行い、市民参加のまちづくりを目的とした「市長と語ろう まちづくり」を、9月下旬から市内各地区において順次開催予定です。「古河市のまちづくり」をテーマにして、市民の皆さまと議論を行い、幅広いご意見を頂戴したいと考えています。なお、開催に際しては、「新しい生活様式」を取り入れた感染症対策を徹底して行いますが、感染拡大の状況によっては、開催の見直しを予定しております。
男女共同参画推進の新たな取組として、「古河市女性議会」を開催します。女性ならではの視点で暮らしやすいまちづくりを目指すもので、古河市の男女共同参画週間にちなみ、来年2月9日の開催を予定しています。9月中に女性議員を募集し、事前学習会や12月市議会定例会の傍聴などの準備を進めています。

2 健康福祉について

障がいのある方への福祉施策の充実を目的とした「第6期古河市障害福祉計画・第2期古河市障害児福祉計画」の策定について、8月に市民2,350人にアンケートを実施しました。今後、このアンケート結果を基に、必要となる施策やサービスの検討を行うなど、実態に即した計画の策定を進めます。
全ての妊婦が出産に至るまで、健康を保ち、経済的な負担の軽減を図り、安心して出産を迎えることができるように、妊婦健康診査の公費負担を拡大します。これまで14回分の受診票を交付していましたが、15回目以降の受診については自己負担となっていました。そこで、10月1日から、15回目以降の受診票を追加交付して支援を行います。
新型コロナウイルス感染症対策としては、離職や廃業により経済的に困窮された方に対する安定した住まいの確保を目的に、住居確保給付金を支給しています。4月20日から支給対象者を拡大したことで相談件数が増加し、7月末現在で38件の支給を行いました。今後も窓口に寄せられる相談に対し、適切な情報提供及び支援を行います。
また、感染の不安を抱えながら生活している高齢者への生活支援を目的に、市独自の対策として高齢者生活応援事業を創設しました。70歳以上の方に対し、一人あたり3,000円分の商品券を支給するもので、9月下旬から順次発送する予定です。

3 教育文化について

西牛谷小学校児童クラブについては、児童が放課後を安全に過ごせる場を確保し待機児童の解消を図るため、今年中の増設を予定しています。これまでに、地盤調査と実施設計が完了し、8月から工事に着工し、児童の安全に十分に留意しながら整備を進めているところです。
郷土愛の醸成につなげることを目的に、新たな研究成果を取り入れた歴史読本を作成しています。写真などを多用することで、これまで歴史に興味関心がなかった方にも読みやすい内容にします。より多くの方に古河の歴史に対する知識を深めていただきたいと考えています。
新型コロナウイルス感染症対策としては、市立小中学校の休校期間中に外国語指導助手がブログを開設し、自宅にいる児童生徒に向けて、動画でメッセージを発信しました。一人ひとりが楽しく英語に触れ、外国の文化や生活について学べるように、英語の自主学習用ミニレッスンなどの動画を70本以上配信し、1日に2,000件を超えるアクセスがありました。
また、市立小中学校の長期休校措置に伴い、不足した年間授業時間数を確保するため、夏休みを8月8日から16日までに短縮しました。これにより、登下校時や運動後などに熱中症が懸念されるため、熱中症予防対策として、7月上旬に市立小中学校の全ての児童生徒に対し、冷感タオルを配付しました。
なお、教職員の皆さまには、日ごろの消毒作業をはじめとする児童生徒の感染拡大防止のためにご尽力いただき、心より感謝申し上げます。

4 産業労働について

6月末に整備が完了した仁連工業団地は、分譲敷地の6割に相当する約7haを5社に売却することが決定しました。また、それに伴う新規雇用予定者は約220人で、これまで以上に働く世代が集まることが期待されます。引き続き、産業振興や雇用機会の創出が見込める企業の誘致に努めます。
道の駅「まくらがの里こが」については、慢性的な駐車場不足の解消のため、従来の駐車場に156台分を増設する整備が完了し、7月21日より全面供用を開始しました。今後は利便性の向上とあわせ、感染症対策を行いながら、市の多様な魅力をより多くの利用者にアピールしていきます。
新型コロナウイルス感染症対策としては、地域経済の回復と消費者、商工業者の支援のために、20%の付加価値をつけた発行総額6億円の古河市プレミアムエール商品券を発行します。販売については3密を避けるために予約制としており、9月18日まで予約を受け付けていますので、ぜひご利用ください。
市内飲食店等の販路拡大と事業継続の支援策として、出前やテイクアウト商品の割引販売を推進する事業所に対し、最大30万円を限度に補助を行います。これにより、利用者は1商品につき最大500円の割引価格で商品の購入ができます。
市内事業所の事業継続を支援するため、事業者が飛沫感染防止対策に要した費用に対し、法人事業者へ最大10万円、個人事業主へ最大5万円を補助します。さらに、市民生活の移動手段であるバスやタクシー事業者に対しては、追加で支援を行うため、本定例会に補正予算案を上程し、安心して生活できる環境づくりを推進します。

5 生活環境について

水害への備えとして、7月3日に市内の全ての避難所とさいごの逃げ込み施設において、市の担当職員を対象に現地参集研修を実施しました。市の担当職員と避難所等の施設管理者が協力し、昨年10月の台風第19号から得た教訓や新型コロナウイルスを踏まえ、避難所開設の流れや避難スペースの確認などを行いました。
また、近年頻発する水害への備えとして、国において今年度中に全国の1級河川水系を対象とした「流域治水プロジェクト」が策定されることとなりました。古河市は、利根川水系に属しており、国や県、関係する自治体と協働し、流域全体で水害を軽減させるための治水対策に取り組みます。
さらに、8月18日には、古河市を含む4県の4市2町が合同で、国土交通省利根川上流河川事務所を訪問し、渡良瀬遊水地の治水事業促進を求める要望活動を行いました。なお、これに関連して、私から同事務所長に対し、渡良瀬川等の堤防強化についても要望したところです。
環境負荷の少ないまちの実現に向けて、関東を中心とした73の市町村と民間事業者などで構成される「廃棄物と環境を考える協議会」の一員として、7月28日に古河市においても「ゼロカーボンシティ宣言」を行いました。今後、各構成自治体が環境保全に積極的に取り組むことで、2050年までに二酸化炭素排出量の実質ゼロを目指します。
上水道について、安全で強靭な水道施設の維持管理のため、令和7年度の完了を目指して、老朽化の著しい石綿セメント管から耐震性に優れた配水管への整備を進めています。7月末現在において、市内全体で5,123mの布設替工事と1,410mの新設工事を発注したところです。引き続き、計画的な整備を推進し、安全で安定した水道水の供給に努めます。
古河駅西口地区における常備消防施設の整備について、建設工事における契約が締結されたことから、8月9日に、はなももプラザにおいて、住民説明会が実施されたところです。引き続き、茨城西南地方広域市町村圏事務組合と連携し、来年12月の開所に向けて順次整備を進めます。

6 都市基盤について

魅力あるまちづくりに功績のあったまちづくり功労者として、「合同会社 古河鍛冶町みらい蔵」が国土交通大臣表彰を受賞しました。歴史的建造物である店蔵を保存修復し、利活用した飲食店の運営が、まちの活性化に貢献し、市民の記憶に残る景観を保持していることが評価されました。
古河駅東部土地区画整理事業地内における大街区については、再公募に向けた手続きの一つとして、土壌汚染対策法に基づく詳細な環境調査を実施中です。このうち、旭町今泉線北側街区について、調査速報が出ましたので、この結果に基づき、8月下旬から事業者ヒアリングを実施しており、早期の再公募に向け、募集内容、手法の検討を行っていきます。
身近な生活道路の整備について、7月末現在で、道路新設改良工事12路線、道路補修工事8路線を発注し、用地測量3路線、用地取得3路線、物件補償3路線の契約を締結しました。今後も、安全で快適な生活道路の整備や維持管理に取り組みます。

7 行財政について

8月3日から市役所業務や各種手続きに関する総合的な問い合わせに、AIが自動回答するシステムの実証実験を開始しました。9月30日まで、市ホームページ及び実験用のLINEでの利用が可能です。24時間自動応答しますので、時間を選ばず気軽に必要な情報が得られます。本格導入に向け、ぜひ多くの市民の皆さまにお使いいただければと思います。
来庁者の利便性の向上を目的として、解体した総和庁舎旧館部分の跡地に駐車場を39台分整備し、8月14日から供用を開始しました。さらに、来庁者の安全面も考慮して、第1庁舎と第2庁舎を結ぶ連絡通路を整備しました。
マイナンバーカードの普及促進の一環として、9月1日からマイナポイントを活用した消費活性化策を実施しています。この制度は、申込をした方を対象に最大5,000円分のポイントが付与されるものです。現在、各庁舎の窓口に職員を配置し、手続きのサポートを行っていますので、この機会にマイナンバーカードの普及が進むことを期待しています。
新型コロナウイルス感染症対策としては、来庁される皆さまに検温に取り組んでいただくため、各庁舎及び福祉の森、健康の駅に、AI体温検知カメラを設置します。
また、人の移動や接触機会を減らすため、市役所内や外部とのウェブ会議の機会が増えています。本定例会にウェブ会議システムの整備に関する補正予算案を上程し、ICT環境の向上に努めます。

むすびに

新型コロナウイルス感染症による活動自粛は、日頃の行動を見つめなおす機会になっています。そのような中、夏には感染防止対策を実施した上で、全国各地で高校野球の独自大会が開催されました。高校球児が仲間を思い奮闘し、最後まであきらめず、前向きに取り組む姿に、1日も早く当たり前の日常を取り戻すために立ち向かう勇気をいただきました。
国内では、社会経済活動の再開を受け、感染症に対して様々な知恵と工夫がなされています。テレワークやキャッシュレス決済の導入など、新しい働き方や暮らし方を取り入れた、社会生活に変化しています。そこで、古河市において推進しているSDGsの目標である「誰一人取り残さない」という社会の実現を目指して、行政のできることを実施してまいります。
古河市は、これまでと同様、市民、事業者の皆さまの協力により、感染拡大の防止に努めながら、市民生活を全力でサポートしてまいります。議員各位をはじめ、市民の皆さまのより一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、市長報告とさせていただきます。

令和2年9月3日

古河市長 針谷 力

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