平成28年第4回古河市議会定例会「所信表明」(平成28年12月27日)

更新日:2020年11月30日

はじめに

 私は、去る11月27日に執行されました市長選挙におきまして、多くの市民の皆さまからご支援を賜り、古河市長に就任させていただきました。想像を超える重圧と緊張の中で身が引き締まる思いでありますが、大任を与えてくださった市民の皆さま、市議会議員各位のご期待に応えるべく、市政の遂行に全力を傾ける所存であります。
 まず、市議会議員の皆さまに対しまして、市民のため日夜その任務にあたられていることにあらためて敬意を表しますとともに、心より感謝申し上げます。 議会と行政は、地方自治を担う車の両輪として、それぞれの立場で切磋琢磨し、協力し合いながら、本市の発展のために力を尽くしていくべき存在であります。市政運営にあたって、議員各位のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 今、あらためて議場に登壇いたしますと、議員時代とは違った緊張と責任の重さを感じています。同時に、選挙期間中にもひしひしと感じた市民の皆さまの市政への大きな期待、そして多くの叱咤激励を心に刻み、歴代市長が築かれたまちづくりの実績により切り拓かれた道筋に、私自身の思いを乗せて新たな市政をスタートしてまいりたいと決意しております。
 市長になって初めての定例会であります12月定例会の開会にあたり、所信を申し述べる機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げますとともに、市政運営について私の決意の一端を申し述べさせていただきます。
  わが国の総人口は、平成20(2008)年の1億2,808万人をピークに減少局面に突入したとされています。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2020年代の初頭は毎年60万人程度の減少に留まりますが、次第に減少の規模が拡大し、平成52(2040)年代頃には毎年100万人程度にまで減少スピードが加速するとされています。
 平成26年5月に日本創成会議から、市区町村の20歳から39歳の若年女性が、平成52(2040)年に半減する消滅可能性都市が示されました。
 本市の人口推計結果では、平成52(2040)年に約11万人、平成72(2060)年には約8万人まで減少すると推計されています。
 深刻な人口減少時代に突入し、東京一極集中が際立つなか、こうした状況に歯止めをかけ、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくために「まち・ひと・しごと創生法」が制定され、地方自治体は、地方版の「人口ビジョン」と「総合戦略」の策定が義務づけられたところであります。
 本市においても、平成27年度から地方版総合戦略の策定と並行し、地方創生関連交付金を活用した移住・定住を促進する事業等に積極的に取り組んでまいりました。今後も、これら国の交付金等を活用しながら、総合戦略に位置づけする施策を柱に、地方創生に着実に取り組んでまいります。
 このような社会情勢のもと本市は、人口減少に伴う財政負担など、社会の変化に的確に対応し、地域間競争に打ち勝つ自治体経営を実践していかなければなりません。
 人口減少・少子高齢化の進行に伴って市税収入の減少や社会保障関連経費の増加が懸念される中にあって、喫緊の課題である人口減少対策や暮らしの変化を感じていただける施策・事業を持続的に実施していくためには、財政基盤をさらに強固なものにしなければなりません。
 市税徴収率の向上、あらゆる財源の確保、税源の涵養などにより歳入基盤の強化を図るとともに、経常経費の抑制、費用対効果を重視した施策・事業の検証などにより歳出の削減に取り組みます。あわせて、基金への積み立てと有効活用、市債の発行抑制などにより後年度負担の軽減に努めるなど、より一層の財政健全化および行財政改革に取り組む必要があると考えております。
 冒頭にも申し上げましたが、今、自治体の消滅すら危惧される人口 減少社会の中で、「地方創生にどう立ち向かい、将来を切り拓いていく のか」。まさに、これからの4年間の取り組みが本市の命運を大きく左右するといっても過言ではありません。常に時代の潮流を読み取り、一歩先を見据え、本市の持つ強みを最大限に発揮して、相乗効果の高い政策を実践してまいりたいと決意を新たにしております。

 それでは、これから4年間、市政を進めていく上での重要な視点として「5つの柱」を中心に述べてまいります。

第1に「市民とともに歩むまちづくり」であります。

 限られた市の経営資源の中で、さまざまな主体と連携、協働する仕組みを確立させ、市民の皆さまが積極的に市政に参加し、地域の連帯感により自治が営まれるよう、必要な情報や参加の場を提供し、コミュニティづくりやコミュニティ活動を支援します。
 高度経済成長期から定住している市民の急速な高齢化に起因する健康・医療・福祉等の課題が今後ますます深刻化することが予想されます。そのため、市民・市民団体・企業等と協力し、社会全体でその解決に取り組む環境をつくり、総合戦略に位置づけた「地域と地域が連携し、安心な暮らしを守り、将来を見据えたまちを創生する」を目標とし、子ども・高齢者・障がい者など多様な皆さんが、住み慣れた地域で暮らし続けられるまちの実現を目指します。
 今般の超高齢化社会において、65歳以上が高齢の配偶者や両親を介護する「老老介護」が増えてきています。内閣府『平成26年度版高齢社会白書』によれば、要介護者等からみた主な介護者の続柄は6割以上が同居している人であり、その内訳は、配偶者が25.7%、子が20.9%、子の配偶者が15.2%となっています。また性別については、男性が30.6%、女性が69.4%と女性が多いことがわかります。老老介護が多い理由としては夫婦や親子だけで生活する核家族が多いことや、「介護施設に空きがない」「利用料金が高い」「他人を家に入れたくない」などの理由が多いとされております。このような現状から、福祉の充実は急務であり、弱者をいたわり、特養・老健施設の拡充を推進し、介護施設待機者の解消に努めてまいります。

第2に「子育て支援と豊かな教育の実現」であります。

 切れ目ない子育て支援の推進のため、長期的な視点に立って少子化対策を進める観点から、結婚、妊娠、出産、子育ての各段階に応じ、きめ細やかな対策を総合的に推進することが必要であります。
 本市の結婚・出産アンケート調査によりますと、18歳から49歳の独身男女の約8割が結婚の意向を持ち、希望する子どもの数の2人以上が約9割である一方、未婚率は約4割あり、出生率の低下傾向にあるなど、結婚・出産・子育ての希望がかなっていない状況にあります。
 このようななか、特に仕事と家庭の両立と女性の活躍を推進する上で、待機児童の解消が重要課題とされており、本市だけではなく全国的な問題になっているところであります。子育てをめぐる環境が大きく変化するなか、平成27年度から実施されている「子ども・子育て支援新制度」に基づき、幼児教育、保育、地域の子育て支援の「量的拡充」として、子育て支援に関する拠点整備の計画的な整備や事業量の拡充を行い待機児童を解消するとともに、「質の向上」として、質の高い人材確保、小規模保育の体制強化や病後児保育等を推進し、多様化する保育ニーズに対応いたします。
 教育の充実面については、昨今、ボーダレス化やグローバル化といった、社会の成熟化や価値観の多様化などの進行に伴い、自己存在の基盤が揺らぎ、子どもたちの自立の遅れが見られる時代状況の中で、未来を担う子どもたちが、これからの国際社会をたくましく生き抜くために、郷土のすばらしさを実感させ、郷土への誇り、郷土に貢献する心を育み、自分に対する自信や誇り、将来への夢や希望を育てることが必要であります。
 将来を担う子どもたちが、確かな学力と豊かな感性、健やかな心身を磨き、生きる力を育んでもらうために、学校教育の充実を図ってまいります。

第3に「元気を生み出す産業の振興」であります。

 商工会議所や商工会、観光協会等の商工関係団体と連携し、周辺地域のコミュニティの形成に資するよう中心市街地の活性化に努めるとともに、本市が持つ歴史や文化、地域の産業、伝統、自然といった地域資源を最大限に活用した、個性溢れる魅力あるまちづくりを進めてまいります。
 また、名崎工業団地における日野自動車古河工場の本格稼働が見込まれるなか、名崎工業団地の整備促進や交通利便性等の優位性を活かした産業系土地利用の充実を図り、さらなる企業誘致の促進や経営基盤の充実支援を進め、活性化や生産性の向上に努めます。
 農業の振興につきましては、これまで都市型近郊農業として発展し、稲作や野菜づくりが盛んに行われてきました。しかしながら、全国的な傾向でもある農産物の価格低迷や従事者の高齢化、後継者不足などによる耕作放棄地の増加などが進行し、本市の農業も厳しい環境にあります。今後とも、地域農業の担い手となる認定農業者や新規就農希望者の育成・支援を進めるとともに、経営の安定化を図っていく必要があると考えます。さらには、物産や農産物については、市のPRと併せて、ふるさと納税や6次産業化等による販路拡大に努め、農産物のブランド力や産地の知名度の向上を推進します。

第4に「災害に強いまちづくり」であります。

 近年、わが国では、平成23年の東日本大震災をはじめとする大規模地震、ゲリラ豪雨と呼ばれる集中豪雨、御獄山などの火山噴火等、深刻な自然災害が発生し、災害に強いまちづくりの重要性が高まっています。
 本市は利根川・渡良瀬川という大河川に面していることから、過去に度々水害に見舞われた歴史があります。災害に強いまちづくりは、現在古河市に住む市民のためだけではなく、将来に向けて古河市の魅力をアピールしていくための要素としても重要であります。このため今後においても、市民の防災意識の高揚を図りながら、市民・事業者・行政などの連携のもとに地域防災力の強化を図っていくとともに、災害に強い都市基盤の整備や、公共施設の耐震化、防災無線など災害時の情報伝達力の強化などに努めていく必要があります。

第5に「市民の夢がかなうまちづくり」であります。

 1市2町が合併し、新生古河市の誕生から11年が経過し、日野自動車古河工場の誘致をはじめ、新市建設計画に位置づけされている将来に希望の持てる都市基盤整備は順調に推移してきたかに見えました。しかしながら、日本全体が人口減に悩むなか、当市においても例外ではなく、生き残りをかけた地方自治体の創意工夫が試される時代が到来しております。
 人口の定住や移住は、都市基盤、交通、教育、福祉、医療などのさまざまな視点からの住民の総合評価の結果であり、特定の施策を講じることによって短期的な効果を期待することは難しいと考えます。このため、10年、20年といった中長期の視点で着実な取り組みを積み重ねていくことが重要となります。そのためにも、人口の定着と誘導に向けた具体的な戦略の立案がこれまで以上に求められると認識しております。
 このようななか、新市建設計画には、新市における一体感の醸成と合併に対する市民の期待に応えるために4つのプロジェクトを定めております。合併当時とは状況の変化もありますが、現在においても地域構造の有機的な関連の向上を目指すためのプロジェクトであると考えております。
 各プロジェクトには、直ちに実行できるものだけではなく、時間を要するもの、関係者との協議や調整を要するものもあります。一つ一つの施策実現に向け強い意志を持ち、スピード感を持って推し進めなければならないと思います。実効性を確保するため、これから4年間の優先的かつ重点的施策を取りまとめ、進捗管理をしていきたいと考えております。

おわりに

 以上、私の市長就任にあたっての所信の一端を述べさせていただきました。

 地方を取り巻く課題が多様化し、全国的に地方創生の動きが活発になっていく状況において、それぞれの地方自治体の力量がますます試されるものと認識しております。私のこれまで市議6期の経験、ネットワークを活かして、国や県と積極的に連携を図りつつ、わが古河市が有している創造性と実行力をいかんなく発揮し、古河市の未来のために、市民の皆さまとともに汗をかき、市民の夢がかなうまちづくりを実現するため「対話」と「行動」の姿勢を貫き、誠心誠意、市政運営に取り組んでまいります。
 議員各位、市民の皆さまの深いご理解とご協力を心からお願い申し上げます。

 以上、就任のごあいさつと所信表明とさせていただきます。

 平成28年12月27日

 古河市長 針 谷 力

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