令和3年第3回古河市議会定例会「市長報告」(令和3年9月2日)

更新日:2021年09月02日

   令和3年第3回古河市議会定例会の開催にあたり、市における主要な施策及び事業の執行状況等について、ご報告いたします。

(はじめに)

   まず、7月1日からの大雨により静岡県熱海市で発生した大規模な土砂災害や、8月11日からの大雨により各地で発生した土砂災害や河川の氾濫による水害で亡くなられた方々に対し、心より哀悼の意を表しますとともに、被災された地域の皆さまに謹んでお見舞いを申し上げます。
   線状降水帯の発生に起因した大雨による被害が毎年続いています。国では5月20日から警戒レベルの表現を変更し、警戒レベル4に相当する避難指示までに、必ず避難するよう呼び掛けています。市民の皆さまには大切な命を守るため普段からどう行動するか、改めて家族や地域でご確認いただきますようお願いします。
   全国における新型コロナウイルスの感染者数は、連日、過去最多の報道がされるなど、感染力の強いデルタ株の広がりを背景に急増しました。
   県は、7月30日から警戒レベルを引き上げ、県独自の緊急事態宣言を行い、8月8日には国のまん延防止等重点措置の適用を受けました。さらに、入院患者の急増により病床が逼迫しているため、県独自の非常事態宣言を行い、8月20日には国の緊急事態宣言の対象地域に追加されました。
   市では、市内飲食店の感染対策状況の見回りや、市ホームページや動画による情報発信と、広報車により感染対策の徹底をお願いしてきたところです。特に、若い世代の感染傾向が見られますので、引き続き、首都圏への移動や接触機会を減らすための行動をお願いします。
   古河市における新型コロナウイルスのワクチン接種につきましては、7月15日までに12歳以上の市民の方へワクチン接種券を発送し、8月20日からは、接種券を発送した全ての方の予約を受け付けています。接種を希望する皆さまが早期に接種機会を得られるよう、国や県、古河市医師会などのご協力のもと、全力で取り組んでまいります。
   それでは、以下、第2次古河市総合計画の施策体系に沿って、主要な施策等の実施状況及び進捗状況について、ご報告させていただきます。

1 市民協働について

   自治組織が行う活動につきましては、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだことにより、再開に向けて準備をしておりましたが、感染者の急増に伴い開催が難しい状況となっています。アフターコロナでは、自治活動が活性化されるよう、市から地域づくり活動に対する財政的支援を行い、地域住民主体のまちづくりを推進します。
   ダイバーシティ推進の取組として、職員対象のワーク・ライフ・バランス研修を実施しました。ワーク・ライフ・バランスの定義と必要性について働き方改革の事例から学び、充実感を持って働くことや、家庭や地域生活において多様な生き方が選択できるよう、引き続き、男女共同参画の促進を図ります。

2 健康福祉について

   新型コロナウイルスワクチンの迅速かつ円滑なワクチン接種体制を確保するため、個別接種に協力していただける市内医療機関を対象に補助金を交付しています。また、交通弱者へのタクシーの初乗り運賃の補助対象は、ワクチン接種を希望する全ての方を対象としています。
   新型コロナウイルス感染症による困窮者対策として、経済的な自立生活につなげることを目的に、「新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金」を支給しています。これは、茨城県社会福祉協議会の生活福祉資金等の貸付を利用できない人で、新たな就労や生活保護の受給に結びついていない生活困窮世帯を対象としています。
   社会福祉法に基づく参加支援事業につきましては、これまで福祉サービスの対象者とならなかった、長期の引きこもり状態にある方や、複雑化した生活課題を抱える方に対して、一人ひとりに適した支援を行うことにより、さまざまな形での社会参加を促してまいります。この事業は、県内で初めて内閣府の成果連動型民間委託方式のモデル事業として採択されました。
   新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、低所得の子育て世帯に対して、児童一人につき5万円の給付を進めています。申請が不要とされる、児童手当の受給者で住民税が非課税の方に対しては、既に給付金を6月30日に支給しました。今後、家計が急変した世帯からは、申請を受付け次第、順次速やかに支給します。
   7月4日に、はなももプラザにおいて、市内の民間保育園団体及び幼稚園、認定こども園団体が主催する「保育士・幼稚園教諭就活応援セミナー」が開催されました。このセミナーの開催にあたり主催者と市が協力して市内18施設を紹介し、高校生4人を含む18人にご参加いただきました。今後の進路や就職選びの参考となることを期待しています。
   新型コロナウイルス感染症の影響により、主たる生計維持者の収入が前年より3割以上減少した世帯等を対象に、昨年度に引き続き、国民健康保険税や後期高齢者医療保険料、介護保険料の減額や免除を行っています。
   また、10月より茨城県後期高齢者医療広域連合からの委託を受け、高齢者の保健事業と介護予防等の一体的な事業を実施します。関係各課が連携することで、フレイル予防や健康寿命の延伸などが期待できるとともに、医療費の削減及び介護給付費の抑制につながるものと考えています。

3 教育文化について

   7月5日に開催した聖火リレーにつきましては、小雨の降る中、9人のランナーが歴史ある古河市の街並みを駆け抜けました。また、7月26日から8月1日にかけて、アメリカ空手道連盟選手団11人が古河市内でオリンピック事前合宿を行いました。市内中学校生徒によるのぼり旗の制作や、市民からのポスター等による選手への激励のほか、受け入れに際しては、晃陽学園や関係団体など多くの皆さまにご協力いただきました。
   また、この事前合宿に参加していた、アリエル・トーレス選手が空手男子形で銅メダルを獲得しました。今回のご縁をきっかけに、古河市とアメリカ空手道連盟との交流について検討したいと考えています。
英語教育の推進につきましては、市立小中学校32校で外国語指導助手を積極的に活用しています。今年度から「英語プレゼンテーションフォーラム」を開始し、希望する中学校においては、Zoomを活用した英語によるコミュニケーションの機会を提供しています。
   また、8月21日には小学4年生から6年生を対象にしたイングリッシュキャンプをオンラインで開催し25人が参加しました。今後も、子どもたちが学校内外で英語に触れることができるよう、様々な機会の提供に努めます。
   ICT教育の推進につきましては、オンライン学習支援アプリ「eライブラリ」の効果的な活用や、教職員向けの授業支援アプリ「Google Workspace for Education」の活用法について研修を実施しています。その結果、「eライブラリ」の取組回数が増え、学校や各家庭での活用が徐々に進んでいます。今後も、児童生徒の学力向上や教職員の負担軽減を図るため、実効性のある研修を継続的に実施します。
   子どもたちの自然体験学習の場を提供するため、7月17日にわたらせ水辺の楽校が三国橋下で行われ、市内の小学生37人が参加しました。この体験は、渡良瀬川に生息する生き物を通して自然を守ることの大切さを学ぶだけでなく、郷土愛を育むことにもつながります。
   第24回青少年のための科学の祭典古河大会では、初めての試みとして、プログラミングコンテストを開催中です。夏休みに開催した初心者向けのプログラミング教室では、61人の児童生徒が参加し、98%の満足度が得られました。10月に行われる作品発表会では、子どもたちの力作が披露されることを期待しています。

4 産業労働について

   新型コロナウイルス感染症の影響による、市内事業者への支援として、時短営業等を余儀なくされた市内飲食店に対し、出前やテイクアウトを実施する店舗へ最大30万円の補助を行いました。5月1日から6月30日にかけて、昨年を上回る197店舗の飲食店に参加していただきました。
   また、6月より市内事業所や店舗の感染防止対策を推進する費用として、法人事業者へ最大10万円、個人事業主へ最大5万円の支援を行いました。7月末現在で48件の交付を行い、市中における感染防止対策を進めています。
   20パーセントの付加価値を加えた古河市プレミアムエール商品券は、発行総額6億円で50,000冊の発行を予定し、7月1日から15日までに予約を受け付けたところ、応募総数は約57,000冊でした。予約超過分も含め、全ての方の希望に添えるよう、過日、補正予算の専決処分をさせていただきました。
   国の小規模事業者持続化補助金を受給し、販路拡大等に取り組む事業者の自己負担分に対する市独自の補助を継続して行っています。7月末現在で28件の交付を行いましたが、現行予算を上回る申請が見込まれるため、本定例会にて補正予算案を上程し、対応してまいります。
   産業の活性化や雇用環境のさらなる改善につなげるため、企業誘致を積極的に推進しているところです。日野自動車グループ企業の株式会社トランテックスが、架装業務を来年1月から開始するため、市では6月から、本市で安心して働き、多くの方々に住んでいただけるよう市内見学会などを行っています。
   また、若者や子育て世帯の市外からの移住定住をPRするため、7月11日に県主催による「いばらき暮らしセミナー」のオンライン相談会に参加し、都内や東北地方から移住を検討している9組の方へ、直接、市の魅力や子育て支援制度等を紹介しました。今後も住んでみたいまちを目指したプロモーションに努めます。
   第16回古河花火大会は、8月7日に市内3会場でスターマインを中心に、それぞれ320発の花火が夏の夜空を彩りました。今年は3密を避けるために会場非公開で行いましたが、古河花火大会は首都圏でも最大級の花火大会でありますので、コロナ収束後には、市民の皆さまが誇れる花火大会の再開を目指します。
   優良な農地を保全し農業振興の各種施策を実施するため、農業振興地域整備計画の全体見直しを行います。今後10年を展望して農業の健全な発展に向けた方向性を示すため、関係機関と協議しながら令和4年度にかけて2か年で策定します。
   持続可能な地域農業を目指すため、地域農業のマスタープランである「人・農地プラン」により、将来の在り方について農業者の話し合いの中で検討しています。地域の中心となる農家を中心経営体として位置付け、国の制度による担い手農家の育成や農業経営の支援を行っています。今年度は新規就農者である3経営体へ補助金を交付する予定です。

5 生活環境について

   6月27日に古河第三小学校にて令和3年度古河市地域防災訓練を行い、古河第三中学校区の市民43人が参加しました。利根川などの上流域で大雨が降った場合の行動について、マイ・タイムライン等により住民自身が判断するという新たな形の訓練を、感染症対策に留意して行いました。参加者には、自助と早期避難の大切さを実感して頂けたものと考えており、今後さらに多くの市民への啓発を進めてまいります。
   また、8月5日に自衛隊、警察、消防などの関係機関と連携して古河市災害対策本部の図上訓練をコスモスプラザ多目的ホールにて行いました。大雨による水害緊迫時と、大水害発生時の二つの場面を想定し、市の対策活動に関する意思決定などを確認しました。
   犬や猫の適正な飼育を推進するため、今年度から不妊手術に加え、去勢手術にも助成をしています。申請件数は7月末現在で不妊手術が109件、去勢手術が71件となっており、動物愛護の意識高揚や、望まない繁殖による環境被害等の抑制につながることを期待しています。
   夏の交通事故防止県民運動として、7月20日に交通安全街頭キャンペーンを実施しました。交通安全についてのお知らせ動画には、私自身も古河警察署長と共に出演し、市ホームページやケーブルテレビ等を活用して広く周知を行いました。
   公共下水道の整備につきましては、市内全体で約3,900mの計画延長に対して、7月末現在で1,900mの工事を発注したところです。今後も、生活環境の向上及び河川の水質の保全を図るため、下水道の計画的な整備と普及促進を図ります。

6 都市基盤について

   4月から土曜日運行を開始したデマンド交通「愛・あい号」につきましては、運行日時を拡大した土曜日の利用者は、7月までに合計459人でした。また、利用者の増加を図るため、チケット販売所等においてPR活動を実施しています。
   空き家対策につきましては、所有者が危険な空き家を撤去する際の費用に対して、50万円を限度に解体費の半額を補助しています。今年度も約20件の相談があり、そのうち、7月末現在で2件の交付決定を行いました。今後も、危険性のある空き家から優先して対応してまいります。
   身近な生活道路の整備につきましては、7月末現在で道路新設改良工事5路線、道路補修工事15路線、用地測量5路線を発注しました。今後も、安全で快適な生活道路の整備や維持管理に取り組みます。
   平成28年度から仁連工業団地の造成にあわせて整備を進めてきた仁連江口線につきましては、8月10日に三和交番南側交差点から三和地域福祉センターまでの区間を開通しました。これにより、境古河インターチェンジから同工業団地へのアクセス向上が期待されます。

7 行財政について

   6月30日に行われた古河市優良工事施行業者表彰式につきましては、昨年度80点以上の工事成績評定を受けるなど、優秀な成績を収めた建設業者8者が表彰を受けました。この表彰が建設業の皆さまへの大きな励みとなり、施工される建設工事の更なる品質向上につながることを期待します。
   SDGsの推進につきましては、県内初の取組として、7月1日にJICA筑波と連携覚書を締結しました。これまでの取組に加え、JICA筑波が持つ国際協力に関する様々なネットワークやノウハウを活用しながら、更なるSDGsの普及啓発を進めるとともに、国際理解や多文化共生の促進にも力を入れていきます。
   新型コロナウイルスの3密対策として、7月20日から新たに各庁舎窓口の混雑状況がわかる「混雑ランプ」を導入しました。来庁される場合は、事前に市ホームページで確認できますので、ぜひ活用してください。
   市政への民間活力の導入及び人材不足の解消を図るため、民間企業の人材を募集しています。この取組は、経済産業省関東経済産業局の事業を活用し、民間企業の人材を在籍型出向として一時的に受け入れることで、新型コロナウイルスの影響により雇用の維持が困難となった企業を支援するものです。
   昨年度締結した住友商事株式会社とのまちづくりの推進に関する協定につきましては、これまでに市のポテンシャルを活かしたまちづくりに関する提案を複数受けており、現在協議を進めているところです。このことから、本協定を再締結し、9月1日から1年間の更新を行うこととしました。
   ポストコロナに向けて市民の利便性を向上するため、いくつかの業務について、本定例会に補正予算案を上程しています。
   まず、市税等の納付につきましては、口座振替の手続きを簡単にするため、令和4年度から金融機関のキャッシュカードを利用した、ペイジー口座振替受付サービス及びスマートフォンやパソコンを利用した、Web口座振替受付サービスを導入します。これにより、納税者の利便性向上や市役所業務の効率化を図ります。
   また、市民の利用が多い市民総合窓口業務につきましては、事務処理内容を可視化し分析をする業務量調査を行います。業務量を定量的に見える化することで、デジタル化などによる窓口業務の改善に努めます。
   さらに、情報発信力を強化するため、LINE公式アカウントの本格運用に向けて準備を進めます。これまで公式アカウントは、ワクチン接種の予約に活用していますが、登録した方が、LINEで知りたい行政情報を選択して受信できるように再構築を図ります。
   以上、現在実施している事業等について、ご報告させていただきました。

(むすびに)

   7月23日から8月8日にかけて開催された東京2020オリンピック競技大会では、世界中のアスリート達の懸命なプレーに、日本中が感動をいただきました。
   その中でも、空手女子組手61キロ級の日本代表として、古河市出身の染谷真有美選手が出場し、ひたむきに全力で戦う姿に勇気をいただきました。古河市で育った若者が、こうして世界で活躍することは誇りであります。そして、これまでの空手人生の経験が、次の世代の子どもたちに継承されることを期待しています。
   さて、新型コロナウイルスのワクチンでは、希望するすべての対象者が11月までに接種を完了することを目指し、国と各自治体が連携して取り組んでいます。8月23日現在で古河市全体の約48%の方が、一回目のワクチン接種を完了しました。しかしながら、新たな変異株の発生により感染者が急増していますので、ワクチン接種が進みピークアウトするまでの間、市民の皆さまには行動抑制に最大限のご協力をお願いします。
   議員各位をはじめ、市民の皆さまのより一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、市長報告とさせていただきます。

令和3年9月2日

古河市長 針谷 力

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