令和6年第1回古河市議会定例会「施政方針」(令和6年2月28日)

更新日:2024年02月28日

   令和6年第1回古河市議会定例会の開催にあたり、予算及び議案等の提案に先立ち、令和6年度市政運営の基本方針及び主要施策等の概要について、ご説明申し上げます。

(はじめに)

   はじめに、1月1日に最大震度7の令和6年能登半島地震が発生し、甚大な被害が生じています。犠牲になられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。市としては、速やかにふるさと納税の災害支援代理寄附の受付を開始するとともに、災害対応に必要な職員を派遣しました。今後も現地のニーズに応じて必要な支援を行ってまいります。
   令和6年は、私が市長に就任してから8年目となる2期目の区切りであります。就任以来、私たちを取り巻く環境が目まぐるしく変化し続ける中、多くの市民の皆さまからの負託に応えるべく、市民誰もがふるさと古河を誇りに想い、希望をもって暮らせるまちにすることを目指して、市政に邁進してきました。
   いつの時代も未来を切り拓くのは人です。気候変動や少子高齢化などが深刻化する不確かな時代において、市民目線に立った政策に重点を置き、未来を切り拓く事業を全力で推し進めてまいります。誰もがいきいきと輝く、明るい未来に向けて、職員とともに、創造性を発揮した古河市の進化を確かなものにしてまいります。

市政運営の基本方針

   令和6年度は、第2次古河市総合計画の基本理念で掲げる「華のある都市(まち)古河」を目指して、今後4年間にわたる市政運営の指針となる第3期基本計画が新たにスタートします。社会課題の解決と持続可能な未来を創造するため、基本目標に応じた重点施策について、限られた財源を有効に活用しながら、発展的かつ持続的な事業を展開していきます。

5つの重点施策

   1つ目は「地域の特性を活かした、仕事をつくる」です。
   世界的にも自然環境と都市機能の調和が重要視される中、大きな転換点を迎えているのがまちづくりであります。歴史ある文化や豊かな自然など、多様な顔を持つ古河市のポテンシャルを引き出すため、地域未来投資促進法を活用した官民連携による新たな産業基盤の整備により、地域経済の好循環と新たな雇用の創出を目指します。
   2つ目は「移住と定住を促し、新しい人の流れをつくる」です。
   14万人の市民一人ひとりが、次なる時代のゲームメイクを担う存在です。100年先も豊かさにあふれる持続可能なまちを目指し、定住に目を向けた新たな住宅支援策を始めます。愛着や誇りであるシビックプライドを向上させるブランド戦略により、「こがでくらすと」の言葉に続く、まちの魅力をみんなで共有することで、まちをアップデートしていきます。
   3つ目は「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」です。
   今日の子育て環境において、子育て世帯は将来への不安など、さまざまな課題を抱えています。小中学校の学校給食費の無償化や、中学生の悩みや不安を可視化するツールを導入し、こどもが健やかに成長し、安心して学べる環境づくりを目指します。切れ目のない子育て支援の手を緩めることなく、子育て世帯を全力でサポートしていきます。
   4つ目は「安心な暮らしを守り、魅力的な地域をつくる」です。
   災害時の市民一人ひとりの防災意識を高めるため、効果的な施策を推進するとともに、消防団活動に不可欠な資機材の充実を図り、地域の防災力の向上につなげます。また、秋頃には古河駅東部土地区画整理事業地内に民間の商業施設が開業予定で、新たな賑わいが創出されますので、スピード感を持って周辺環境の整備を進めます。
   5つ目は「GX・DXの加速」です。
   循環型社会の実現に向けて、環境基本計画で掲げる「人と自然が共生し、豊かな環境・歴史を未来につなぐまち」を目指して、省エネ診断を行う中小企業の脱炭素経営を支援し、産業全体のCO2削減につなげます。また、DXは単なる業務の効率化に留まるものではありません。窓口のキャッシュレス化やChatGPTの活用など、デジタルでサービスの質の向上を実感できるよう、デジタルトランスフォーメーションを加速します。
   以上、令和6年度の重点施策を申し上げましたが、効率的で効果的な執行体制の強化を図るため、組織機構の一部見直しを行います。
   子育て支援を一層強化するため、こども目線の政策を総合的に推進する「こども政策課」と、保育全般に関する体制を強化する「保育課」を設置します。また、古河の歴史と文化芸術の価値をより高め、さらに育んでいくため「文化振興課」を設置して、豊かな市民生活のための政策を推進していきます。
   それでは、以下、令和6年度の主要な施策及び事業の概要について、第2次古河市総合計画の施策体系に沿ってご説明いたします。

1 市民協働「地域のみんなで古河(まち)をつくる」

   自治組織運営事業及びコミュニティ推進事業については、各地域で各種イベントが少しずつ再開され、地域のつながりや賑わいが戻りつつあります。しかしながら、再開に至っていない活動もあることから、引き続き、補助金や助成金の拡充を継続し、自助共助にもつながる地域活動の支援に力を入れていきます。
   一人ひとりが自分らしく輝き、心豊かに生活できる男女共同参画社会の実現に向けて、「第3次古河市男女共同参画プラン」を策定します。また、ワーク・ライフ・バランスを推進するため、新たにガイドブックを作成し啓発するとともに、より多様性かつ包摂性を備えた施策を展開していきます。

2 健康福祉「互いに支え合う古河(まち)をつくる」

   こどもが主役の社会をつくり上げていくために、「古河市こども計画」を策定します。保護者からの意見のほか、施策の対象であるこどもからの意見に耳を傾けていきます。また、計画策定と並行し、官民協働の新たな手法による「こどもの居場所づくり」の事業体制を構築し、子育て支援の底上げを行います。
   近年発症者が増加している帯状疱疹については、重症化により後遺症が残る危険性があることから、発症の予防効果が期待できるワクチン接種を推進します。発症率が高くなる50歳以上の市民を対象に、新たにワクチン接種にかかる費用の一部を助成することで、生涯にわたる市民の健康をサポートしていきます。
   妊婦が風しんに罹患すると、胎児が先天性風しん症候群を発症することがあるため、県が実施する風しん抗体検査で抗体価が低い人を対象に、市ではワクチン接種にかかる費用の一部を助成してきました。新たに妊娠後の妊婦健康診査等で抗体価が低いと診断された人も対象にすることで、安心して妊娠・出産・子育てが出来るよう支援を拡充します。
   不妊治療については、令和4年度から保険適用になりましたが、先進医療など一部保険適用外の治療があり、自己負担額が高額になる場合があります。不妊治療に取り組む夫婦を支援するため、市独自に保険適用外の治療費に対して助成を行います。
   事業者などが障がい者の社会的障壁を解消する取組として、コミュニケーションツール等の合理的な配慮に要する費用を助成します。この取組が浸透することで、障がい者の社会参加を促進するとともに、「障がいのある人もない人も、ともに心豊かに安心して暮らせるまち」の実現を目指します。
   多様な保育ニーズに対応するため、民間保育施設等が行う要支援児保育の実施にかかる費用の補助額を拡充します。これにより、保護者がこどもを預けることができる環境を整えます。
   第三保育所の長寿命化改修工事については、保育所内を3工区3期に分けて行っており、現在2期目の工事に入るところです。日常保育を行いながらの工事となるため、令和7年1月の完成を目指して安全に配慮しながら工事を進めます。
   新型コロナ感染症の発生時には、感染症対策用物品が不足し一時的に確保困難な状況が発生しました。これらの教訓を踏まえ、真に必要な時の備えとして、物品の計画的な調達や管理をすることで、新型インフルエンザ等の新たな感染症の発生やまん延から市民の生命と健康を守る備えを行います。

3 教育文化「人が育ち文化の息づく古河(まち)をつくる」

   物価高騰による子育て世帯の経済的負担を軽減するため、令和6年度は、市内の小中学校に通う児童生徒の学校給食費を無償化します。また、食物アレルギーのために給食の提供を受けられない児童生徒の保護者に対しては、別に支援を検討していきます。
   全国的に中学生の自殺者数が増加傾向にあることから、見過ごされがちな自殺リスクや精神不調を可視化するRAMPSというツールを導入します。これにより、悩みや不安を抱える生徒の心身の状態を知ることで、学校でのサポートの必要性を早期に判断し、さまざまな問題行動の予防につながることを期待しています。
   部活動の地域移行については、将来にわたりこども達がスポーツや文化芸術活動を継続して親しむことができる機会を確保するとともに、学校の働き方改革を推進するために実施しています。引き続き、部活動指導員の配置に加えて、国の財政支援制度を活用した地域スポーツクラブの実証事業を進めていきます。
   増加傾向にある在住外国人等の児童生徒については、日本語指導及び教科指導等の補助を行っています。日本語指導サポーターの指導時数を増やし、生活面・学習面で日本の教育に適応できるようサポート体制を強化していきます。
   小中学校の体育館の改修については、古河第一中学校の長寿命化改良工事と、小学校4校及び中学校1校の照明LED化工事を実施します。さらに、指定避難所になっている小学校15校及び中学校6校の体育館へ空調設備を設置するための実施設計を行います。
   下辺見小学校の放課後児童クラブ施設については、児童数の増加に伴い既存スペースでの運営が困難になることから、新たな施設の建設に向けて実施設計等を進めます。施設定員を拡大することにより、放課後児童クラブの利用希望者を受け入れ、児童が安心して過ごせる場を確保していきます。
   総和地域交流センターの整備については、2月に実施設計が完了し、新築工事の発注準備を進めています。令和7年12月の開館を目指して着実に業務を進めていきます。
   (仮称)古河市新公会堂の基本構想及び基本計画については、令和5年度に作成した基本調査報告書を基に整備内容を具体的に示すため、市民の皆さまに求められている役割や機能を整理し、市民委員会において議論した上で計画に反映していきます。

4 産業労働「活力と賑わいのある古河(まち)をつくる」

   「大堤地区」における未来産業用地開発事業については、同地区の開発に向けた課題と対応策を検討するための基礎調査を実施します。今後も、市内外から多くの人が集まる環境づくりと、古河市の魅力向上を目指し、新たなまちづくりの拠点整備に取り組みます。
   「東山田・谷貝地区」における未来産業用地開発事業については、企業の造成開始に合わせて周辺環境を整備するため、同地区の道路や水路の整備を進めます。立地企業4社の一日も早い稼働に向けて、さまざまな支援を行います。
   新たにハローワーク古河と連携して市内事業所のPR動画を作成し、市公式YouTubeチャンネルでの配信を開始します。また、継続して配信することで市内外の若い世代を中心に幅広く情報を伝え、雇用対策とキャリア教育の推進に併せて、産業PRにつなげていきます。
   観光イベント事業については、一般社団法人古河市観光協会と連携して季節ごとのイベントを開催していきます。8月3日には、5年ぶりに夏の風物詩である古河花火大会を盛大に開催します。各種イベントの開催にあたっては、安全に配慮して関係機関と調整を進め、観光客の市内回遊につなげることで地域の活性化を図ります。
   道の駅「まくらがの里こが」については、来場者の増加や滞在時間の増加を目指し、大型遊具やウッドデッキの整備を進めています。また、市の地場産品等を活用した新たな商品の開発も進めています。道の駅に付加価値を加えることで、さらなる来場者の増加につながることを期待しています。

5 生活環境「安全で快適な古河(まち)をつくる」

   いつ発生するかわからない災害への備えとして、災害時における備蓄品の適切な管理とスムーズな輸送を目的に、民間事業者が管理する倉庫での保管を始めます。また、水害を想定した地域防災訓練については、浸水想定の深い区域の住民を対象に、バスや自家用車での避難訓練のほか、避難所開設訓練などを実施し、水害からの逃げ遅れ「ゼロ」を目指します。
   防災行政無線については、耐用年数の経過のためシステム更新を実施します。更新に伴い、放送と同時に防災防犯メールやSNSなどで、内容の一斉配信を可能にすることで、災害時等における情報伝達力を強化します。
   カーボンニュートラルの推進に向けて、中学校9校で行っている「押しかけ講座」を、小学校23校へ拡大して実施します。若い世代に向けた啓発を小学校に拡大し機会を増やすことで、カーボンニュートラルを身近なこととして取り組める人材を育成していきます。
   産業部門のCO2削減の取り組みとして、中小企業者等の製造業に限定していた省エネ診断補助金を、全ての業種へ拡大します。これにより、配電盤茨城団地で行っているグリーン化のモデル事業を、地域全体の取り組みとして推進します。
   空き家を活用した住宅政策の可能性を探るため、空き家リフォーム住宅のサブリース賃貸を、市外の若者世帯を対象にモデルケースとして実施します。空き家の利活用や若者世帯の移住定住の効果を検証した上で、新たな住宅政策の展開を目指します。

6 都市基盤「魅力的で利便性の高い古河(まち)をつくる」

   古河駅東部土地区画整理事業については、大街区北側135街区の秋頃の商業施設開業に合わせて、周辺の造成工事等を進めます。また、事業区域内の西牛谷辺見線については、順次整備を進めており、旭町今泉線から十間通りまでの区間を3月に供用開始します。
   桜町上辺見線古河工区整備事業については、国道4号西側の未整備区間を整備するため、道路予備設計等に着手します。また、下大野線整備事業については、柳橋下大野線の西側に延伸する区間を整備するため、引き続き、用地測量や道路詳細設計を進めます。
   市の観光拠点となる公園づくりを目指して、令和5年度より公園の再整備に着手しています。サンワ設計ネーブルパークについては、サウナの設置やキャビンリノベーションなどを行い、来場者の増加を目指します。また、古河公方公園については、カキツバタ園の拡張整備を行い、さらなる魅力向上に努めます。
   地域公共交通計画の基本理念で掲げる「安全かつ持続可能な交通環境により、魅力的で利便性の高い古河(まち)をつくる」を目指して、13項目の事業を展開し、将来にわたり持続可能な公共交通網を構築していきます。また、市内循環バス「ぐるりん号」については、利便性向上のためにダイヤ及びルートの一部を見直し、3月より運行開始します。

7 行財政「古河(まち)づくりを支える行政経営」

   ブランド戦略「こがくらす」については、市民参加型のワ―クショップを開催して、動画制作やSNSの効果的な活用方法を紹介し、参加者を巻き込んで市の発信力を高めていきます。また、特設ウェブサイトでは、市外からの視点を取り入れた記事や、市内企業と連携した記事を新たに追加し、さらに内容の充実を図ります。
   ふるさと納税の推進については、寄附募集サイトの掲載情報をさらに充実させるとともに、返礼品提供事業者との対話を大切にしながら制度の適正な運用に努めます。返礼品の充実と効果的なPRにより、寄附額の増加や、地元産業の活性化を図り、市の知名度向上につなげます。
   39歳以下の若者世帯や15歳以下のこどもを養育する子育て世帯の市内定住を促進するため、若者・子育て世帯まちなか住宅取得奨励金を新設します。これまで転入者を対象に実施していた事業の一部を見直し、古河市に長く住んでいる市民も活用可能にしたことから、定住者が増加することを期待しています。
   自治体システム標準化については、すべての自治体で令和7年度末までに国の標準仕様書に則ったシステムへの移行が必須となっています。市では現行システムをアップデートすることで標準化に対応していき、令和7年8月に標準化システムへ切り替えることを目標に準備を進めます。
   デジタルで市民の利便性向上を図るため、市役所の主な窓口やオンライン申請時のキャッシュレス決済機能を導入します。また、ChatGPTの活用については、庁内の調査研究チームによる調査の結果、業務の効率化などに一定の効果が確認できたことから活用していきます。
   市民総合窓口業務の委託化については、6月から官民が連携した窓口運営体制に移行します。窓口利用者満足度の向上及び持続可能な行政サービス提供体制の確保に向け、窓口の発券機導入などにも取り組みながら、市民と行政の接点であるフロントヤード改革を進めます。

(むすびに)

   以上、令和6年度市政運営の基本方針及びそれに基づく主要施策等の概要について、ご説明を申し上げました。
   本定例会には、過去最高の一般会計総額約545億円となる予算案を提案いたしました。これまで以上にメリハリを利かせ、BPOを活用した窓口改善や、グリーンやデジタルの分野に投資を行う一方、事業の見直しを一層強化することで、将来にわたる財政対応力にも注力しています。
   「華のある都市(まち)古河」を目指し、持続可能な都市へと変革させるために、全庁一丸となって、その成果を早期に形あるものとし、希望ある未来を導いてまいります。
   つきましては、市政運営に対し、議員各位をはじめ市民の皆さまのご理解とご協力を心よりお願いするものです。
   以上、令和6年度施政方針といたします。

      令和6年2月28日    古河市長   針   谷      力

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