平成30年第1回古河市議会定例会「施政方針」(平成30年2月28日)

更新日:2020年11月30日

 平成30年第1回古河市議会定例会の開催にあたり、平成30年度における市政運営の基本方針及びそれに基づく主要施策等の概要について申し述べます。

(はじめに)

 まず、1月22日から23日にかけて関東平野部では4年ぶりの大雪となりました。古河市においては20cmを超える積雪や路面凍結により、交通事故、転倒によるけが、農業施設の被害が発生するなど、市民生活に影響が出ました。本市では災害ごとの防災や対応強化に努めているところですが、今まで以上に大雪への警戒や災害対応に取り組んでまいります。
 さて、昨年末、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)について、今後の整備財源として政府の財政投融資による資金の活用が決まり、2024年度までの完成を目指して、順次、暫定2車線区間の4車線化等が図られることとなりました。
 本市では、こうした都市(まち)づくりへの追い風を生かすためにも、4車線化が図られた時にその効果を最大限享受できるよう、今後様々な施策を強化してまいります。特に、企業誘致を含めた産業の振興や、交流人口の増加に繋がる観光面の施策を拡充するとともに、圏央道境古河インターへのアクセス向上のため、中心市街地から同インターに直結する国道354号バイパスの整備促進についても鋭意取り組んでまいります。

市政運営の基本方針について

 古河市の市政運営については、「新市建設計画」及び「第2次古河市総合計画」を最上位の指針とし、また、「古河市人口ビジョン」に基づく「古河市まち・ひと・しごと創生総合戦略」による持続可能な施策を展開することで、本市の未来像「華のある都市(まち)古河」の実現を目指してまいります。
 実現に至るアプローチとしては、今日の市町村を取り巻く社会状況を踏まえ、本市の現状と向き合う中で、有効な施策を選択しつつ、戦略的に進めてまいります。
 市町村は今、少子高齢化とそれに伴う人口減少の中で、今後どのようにまちの活力を維持し、地域経済の活性化を図っていくのかが大きな課題となっております。少子高齢化の最大の問題点は、労働力の中核をなす15歳から64歳までの生産年齢人口が減少することであります。日本全体の人口が減少する中ではありますが、まちづくりの観点からは、この年齢層の急激な減少に歯止めをかけなければなりません。
 そこで私は、その対応として、次の3つの施策を戦略的に進めてまいります。
 1つ目は「安定した雇用の創出」であります。元気を生み出す産業の振興を通じて、雇用の創出や拡大を目指します。そのため、圏央道や日野自動車古河工場の波及効果の活用、地域資源の発掘と有効活用、交流人口の増加を戦略視点として、新たな企業誘致、古河ブランドの発掘やプロモーションの強化、体験・参加型の観光ツーリズム等に取り組んでまいります。
 2つ目は「若い世代の定住促進」であります。若い世代は都市の活力そのものであり、市に呼び込み、繋ぎ止める必要があります。そのためには、子育ての安心安全、確かな学力と体験の中で豊かな感性を育む教育、郷土愛の醸成を戦略視点として、切れ目のない子育て支援、小児科・産婦人科医療体制の充実、子育て世帯への経済的支援、特色ある学校教育、「古河っ子」の育成等に取り組んでまいります。また、若い世代が楽しく暮らすためには、都市のエンターテイメント性を高めることも大変重要な要素であります。
 そして3つ目は「まちの安心安全」であります。古河市が安全な所でなければ、移住や定住も期待できません。特に水害への備えの強化、地域防災力の向上、地域コミュニティの機能維持、消防力の強化を戦略視点として、防災啓発や避難行動の周知、水防計画による活動、自主防災組織の育成、密集市街地への消防施設の設置、消防活動を助ける生活道路の整備等に取り組んでまいります。
 以上、3つの戦略的施策を申し上げましたが、これらの施策を一体的に推進することにより、古河市が現在抱える課題の解決に前進できるものと確信しております。

 それでは、以下、第2次古河市総合計画の施策体系に基づき、平成30年度に実施を予定する主要な施策及び事業の概要等についてご説明いたします。

1 市民協働「地域のみんなで古河(まち)をつくる」について

 地域住民主体のまちづくりを推進するため、自治会及び行政区の運営に対し財政的な支援を行います。また、地域の活性化を促すため、地域の環境美化活動や各種イベント等に対し、地域づくり活動支援事業補助金を交付します。
 地域のコミュニティ活動について、複雑化、多様化する地域の諸問題を、地域が自主的に解決できるよう、地域の実情にあった協働の場をつくることや、若者や子育て世代なども含めた幅広い年代の活動を支援します。また、地区コミュニティ組織の未設立3地区については、引き続き設立に向けた支援等を行います。
 男女共同参画の推進について、平成30年度は、古河市男女共同参画都市宣言10周年という節目の年を迎え、記念フォーラムを行うなど、さらに市民の意識や関心を高め、市民、事業者、団体等との協働により、一人ひとりが自分らしく輝いて生きることができる社会の実現を目指します。
 昨年、市内各地区において「市長と語ろう まちづくり」を開催し、市民の皆さまと意見交換を行いました。今後も、市政に対する市民参画機会の拡大のため、市民と行政との率直な意見交換などによる双方向コミュニケーションを図ります。

2 健康福祉「互いに支え合う古河(まち)をつくる」について

 市独自の医療費助成制度について、平成30年度から、0歳から中学校3年生までを対象に、医療費の自己負担額の無料化を実施します。これにより、次世代を担う子どもたちの健やかな成長と子育て世帯の経済的負担の軽減を図ります。
 古河赤十字病院跡地東側について、待機児童等の解消を目的に、上辺見保育所の移転改築工事を進めています。平成30年度は、建築工事に加え、外構工事等の付帯工事を実施します。また、跡地西側については、子育て支援の質の向上を目的に、新たな機能の導入に向けた検討を進めており、跡地全体計画の再精査を行うほか、民間活力導入の可能性についての調査を実施します。
 新生児聴覚検査を受けた際の費用に対し、平成30年度から、3,000円を上限とした助成を実施します。先天性の聴覚障害が早期に発見され適切な支援が行われることで、聴覚障害による音声言語発達等への影響を最小限に抑えられることが期待されます。
 産後うつや新生児への虐待予防を目的に、平成30年度から、出産後間もない産婦に対する健康診査の費用を助成します。これにより、産婦の状況を早期に把握し、必要なサービスを提供するための体制を確保します。
 介護保険制度の改正により、平成30年度から、すべての対象者が介護予防・日常生活支援総合事業に移行します。訪問型、通所型の各種サービスを提供し、高齢者を地域全体が支えることで、高齢者一人ひとりの自立を促し、介護予防や重度化の防止を図ります。

3 教育文化「人が育ち文化の息づく古河(まち)をつくる」について

 市内の小学校では、文部科学大臣から英語教育特区の指定を受けていることから、外国語指導助手(ALT)を配置し、1・2年生で年間10時間、3・4年生で年間35時間、5・6年生で年間50時間の英語活動を展開します。これにより、中学校までの途切れのない英語教育のさらなる推進を図り、グローバル化に対応した人材育成の一翼を担います。
 放課後児童クラブについて、古河第七小学校、八俣小学校、仁連小学校の児童クラブにおける単位数を各1単位増設し、近年の児童クラブの利用ニーズに対応します。古河第七小学校においては、隣接するコミュニティセンター三和いこいの家のホールを活用します。八俣小学校においては、小学校敷地内に校舎とは別棟の施設をレンタルにより整備します。
 茨城国体は、来年9月に開催が予定されており、古河市では公開競技の「綱引競技」及びデモンストレーションスポーツの「少林寺拳法」が開催されます。平成30年度は、大会運営の準備やPR、これら競技の普及促進を行うとともに、リハーサル大会を開催することで本大会に備えます。
 茨城国体、東京オリンピックの開催を控え、市内においてもスポーツに対する関心が高まりつつあります。このようなことから、市民や団体等の意見を反映させながら、今後におけるスポーツ関連施策の指針となるスポーツ推進計画の策定に取り組みます。
 (仮称)三和地域交流センターについて、建物本体工事が間もなく完了する見込みであり、外構工事についても計画どおりに進んでいるところです。今後、備品の調達や施設管理に関する条例等を整備し、本年10月の施設開館に向けた作業を進めます。

4 産業労働「活力と賑わいのある古河(まち)をつくる」について

 日野自動車古河工場の全面稼働に伴い、関連企業の誘致や定住促進のための施策に取り組んでいるところです。定住促進のための奨励金事業は、事業期間を延長して実施しており、平成28年度からは市への転入者が転出者を上回る月が増えるなど、施策の効果が少しずつ現れています。今後もさらに転入者や定住者の確保に努めます。
 観光の振興について、年間を通して様々な観光イベントや伝統的なまつりを開催することで、県内外に古河市をPRし、交流人口の増加や市内商工業の活性化を図ります。また、市の花であるハナモモについて、花びらから抽出した成分でアロマを開発し、商品化を進めることで、新たな観光資源の創造に取り組みます。
 市内の商業振興を目的に「古河マルシェ」の開催や空き店舗の活用、商店街イベントへの支援を行い、まちなかの賑わいを創出することで、市内商業の活性化を図ります。
 農家の後継者や新規就農者の不足等の問題がある一方で、農業ビジネスの可能性が大きく見直され、「儲かる農業」が注目され始めています。新規就農者への経営支援や研修費用の助成等を行うことで、担い手の育成やその確保を推進するとともに、県の銘柄産地に指定されている農作物や花きを中心に、農産物の知名度向上やブランド化を図ります。
 ふるさと納税について、国から返礼割合の見直しの要請があり、古河市においても昨年10月に見直しを実施したところです。引き続き、制度の趣旨を踏まえ、地域産業の活性化や市の知名度向上に繋がる制度の運用を推進します。

5 生活環境「安全で快適な古河(まち)をつくる」について

 市内に設置されている防犯灯などの照明器具について、一斉にLEDタイプのものに交換します。これら、照明器具の維持管理の一元化や長寿命化により、省エネルギーによる温室効果ガスの削減や電気料を含めたランニングコストの低減が図れるものと期待しています。
 空家対策について、市内において適切に管理されていない空家等の実態調査を踏まえ、「古河市空家等対策計画」の策定を行っているところです。今後、この計画に基づき、所有者に適切な管理を促すとともに、利活用を通じて地域住民の生活環境の保全を図ります。
 密集市街地における消防力強化の観点から、古河駅西口地区に常備消防施設の設置を図るため、今後、茨城西南地方広域市町村圏事務組合と協議を進めます。
 古河市斎場の火葬棟及び火葬炉について、長年に渡る稼働に伴い設備の老朽化が著しく、大規模な改修が必要な状況にあります。改修にあたり、「古河市斎場施設改修計画」を策定し、周辺住民の生活環境に十分配慮しながら施設の最適化を進めます。
 上水道の整備について、安全で安心な水道水を安定して供給するため、配水管の拡張工事を約2,000m並びに老朽化した石綿セメント管の布設替え工事を約5,800m実施し、配水管の耐震化を図ります。
 下水道の整備について、公共用水域の保全を図り、豊かな自然環境の保全や快適な都市生活の確保を図るため、市内の事業計画区域内において生活雑排水排除のための管路施設を整備するとともに、農業集落排水処理施設の老朽化に伴う機械設備や電気設備の更新工事を実施します。

6 都市基盤「魅力的で利便性の高い古河(まち)をつくる」について

 都市計画マスタープラン及び立地適正化計画の策定について、基礎データの現状整理や市民アンケートを踏まえ、都市計画マスタープランでは全体構想や地域別構想を検討し、立地適正化計画では都市機能誘導区域や居住誘導区域、誘導施策の検討を行っているところです。今後、住民説明会やパブリックコメントなどを実施し、市民の皆さまのご意見を踏まえた計画を策定します。
 仁連地区の新産業用地開発事業について、平成30年度は山林の伐採や整地工事、調整池の整備工事を実施します。また、開発と並行して、仁連江口線の三和交番付近交差点から仁連の工業団地までの区間を先行整備します。引き続き、圏央道等へのアクセスに恵まれた立地のポテンシャルを活かした産業拠点の形成を図ります。
 身近な生活道路の整備について、平成30年度は道路新設改良工事15路線、道路補修工事36路線、橋梁補修工事4橋を実施するほか、用地取得6路線を実施します。また、老朽化した道路施設の破損箇所を早期に発見し計画的に補修を行うために、橋梁点検及び舗装修繕調査を実施します。引き続き、安全で快適な生活道路の整備や維持管理に取り組みます。
 古河駅東部土地区画整理事業について、平成30年度に国道125号から旭町今泉線までの2車線暫定供用が開始できるよう、引き続き、道路改良及び舗装工事を実施します。また、平成29年5月から県の事業として実施している十間通り「仲の橋」の架替え工事については、迂回路の供用後、本体工事に着手する予定です。
 平成29年度から実施している地域公共交通網形成計画の策定について、現状や課題を整理し持続可能な公共交通網を構築するために、市民や公共交通利用者、集客施設利用者に対し、アンケートやヒアリングを実施したところです。今後は、市民の皆さまからのご意見やご要望を参考にしながら計画を策定します。
 (仮称)南古河新駅設置について、今年度実施した基礎調査の結果を踏まえ、地元住民の皆さまと協議を進めます。

7 行財政「古河(まち)づくりを支える行政経営」について

 市の広報として、先ごろ紙面を大幅にリニューアルした「広報古河」を毎月1回発行するとともに、市公式ホームページにおいても広く市政情報等を発信します。ホームページについては、現在、より便利で見やすいページとするためのリニューアル作業を進めており、また、新たな取組としてスマートフォン用自治体アプリの導入を行います。
 現在、耐震強度不足により利用を制限している総和庁舎の旧館について、市民の皆さまの施設利用の安全性を考慮し施設を解体することとしました。平成30年度は解体に関する調査や設計を行い、平成31年度に解体工事を実施する予定です。
 ファシリティマネジメントについて、すでに策定済みの市公共施設等総合管理基本方針及び分野別施設方針を踏まえ、公共施設の適正配置に関する計画を策定します。
 市職員の意識改革や事務執行能力の向上を図るため、「市職員人材育成ビジョン」に基づき、職位や職務ごとの研修及び専門機関への派遣研修を行います。また、人事評価制度として市職員の業績と能力を評価し、その結果を人事や給与に反映させることで市職員の意識の改革を促し、市民サービスのさらなる向上を図ります。
 経営資源の有効活用として、ふるさと納税制度により受け入れた寄附金を財源に、新たに「古河市子ども夢基金」を創設し、今後、古河市の次世代を担う子どもたちのための様々な施策に活用します。

(むすびに)

 以上、新年度における市政運営の基本方針及びそれに基づく主要施策等の概要について申し述べました。

 本年は、私が市長に就任して2年目となります。本年を「未来(あした)に向かい着実に前進する年」ととらえ、市民の皆さまに確かな前進を実感していただける年とする決意をいたしました。議員各位をはじめ、市民の皆さまのご理解とご協力をいただきながら、未来に誇れるまちづくりを市職員とともに全力で進めてまいります。
 本議会におきましては、補正予算、新年度予算、条例案など多くの議案を上程しております。慎重なるご審議の上、各議案のご承認をいただけますようお願い申し上げ、平成30年度の施政方針といたします。

 平成30年2月28日

 古河市長 針 谷 力

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