平成31年第1回古河市議会定例会「施政方針」(平成31年2月21日)

更新日:2020年11月30日

 平成31年第1回古河市議会定例会の開催にあたり、平成31年度における市政運営の基本方針及びそれに基づく主要施策等の概要について申し述べます。

(はじめに)

 はじめに、多年に渡り地方自治に多大なるご貢献をいただきました故並木寛市議会議員を偲び、心より追悼の意を表します。
 議員は、旧三和町において町議会議員を5期、市において市議会議員を3期務められ、特に新古河市の初代市議会議長として重責を担われました。地域の発展にご尽力をいただいた議員のご功績を引き継ぎ、市をさらに前進させることが我々の務めであるものと考え、ここに謹んで議員のご冥福をお祈りいたします。
 今、わが国では、平成最後の年が始まり、また、新元号による新たな時代を迎えようとしています。
 古河市にとって平成の時代での最も大きな出来事は、合併により新たな古河市が誕生したことであります。
 バブル経済の崩壊後、国、地方ともに税収は伸び悩みをみせ、人口減少社会に突入しようとしていた中、住民サービスの低下を招くことのないよう、合併を決断した先人たちに、あらためて敬意を表しますとともに、新時代への舵取りを引き継ぎ、大きな責務を全うする決意を新たにしたところであります。

市政運営の基本方針について

 古河市の市政運営につきましては、合併前に策定した「新市建設計画」及び「第2次古河市総合計画」を最上位の計画に位置付け、本市が目指す未来のまちの姿である「華のある都市(まち)古河」の実現のため、発展的かつ持続可能な施策を大きく展開してまいります。
 市町村を取り巻く現状としましては、少子高齢化の深刻な進展、毎年のように発生する地震や水害など、基礎的自治体である市町村に求められる行政サービスの質や量は、年々目まぐるしく変化しております。
 このようなことに適時適切に対応するため、平成31年度においては、市民ファーストとして、次のような取組を戦略的に実施してまいります。
 一つとして、「災害に強いまちにする」であります。
 昨年6月の大阪府北部地震、7月の西日本豪雨、そして、9月の北海道胆振(いぶり)東部地震や台風による被害で亡くなられた方々に、心より哀悼の意を表します。このような自然の猛威に対して、行政が第一義的に取り組むべきことは、市民の皆さまの生命や財産を守ることであります。市では、これまで、「市長と語ろう まちづくり」において、市民の皆さまと防災や減災についての意見交換を重ね、同時に国土強靱化地域計画の策定を進めてまいりました。この計画に基づき、平成31年度は、災害への備えとして、ハザードマップやタイムラインなどの情報の周知、福祉避難所の開設や運営に関する準備を進めるなど、総力を挙げて強靱化に取り組んでまいります。
 二つとして、「プロジェクトを推し進める」であります。
 市におけるプロジェクトは、合併前に策定された新市建設計画において「先導的プロジェクト」として示されたものが合併後に推進されてきたところですが、昨年8月に実施した市民アンケートの結果では、約9割にも及ぶ回答者にプロジェクトが認識されていないことが浮き彫りとなりました。このことから、平成31年度は、あらためて合併時の約束であるプロジェクトについての周知活動を行うとともに、(仮称)南古河駅の設置については、新駅整備の実現に向けて、スピード感を持って強く事業を推進してまいります。また、文化交流拠点としての古河駅東部土地区画整理事業地についても、新年度の早い時期に用途についての方針を決定し、区画整理事業の完了を目指すとともに、文化交流拠点の形成を着実に進めます。
 三つとして、「あらたなチャレンジ」であります。
 近年、AIといわれる人工知能技術が飛躍的に進歩し、民間企業はもとより行政機関の多くの分野で本格導入に向けた動きが活発化されています。実際に地方自治体で試みられている事例としては、スマートフォンでの子育て相談への回答や保育所入所における施設割り振りの判断、戸籍関連業務などがあります。このことから、平成31年度は、市の業務においてAI技術をどのように活用できるのかについての具体的な検討を始めることとし、平成32年度には、いくつかの業務においてAI技術を導入することを目指します。
 それでは、以下、戦略方針等に基づき、平成31年度に実施を予定する主要な施策及び事業の概要について、第2次古河市総合計画の施策体系によりご説明いたします。

1 市民協働「地域のみんなで古河(まち)をつくる」について

 自治会や行政区等の住民自治組織の運営支援について、現在、20の地区及び225の自治会や行政区等により、住民主体のまちづくりが進められています。これら組織の運営に関する交付金や、魅力ある地域づくり活動についての事業費補助など、自治組織の運営に対する財政的支援を行います。
 地域のコミュニティ活動として、夏祭りや三世代交流イベントの開催、防災訓練や広報紙の発行など、各地域の実情に見合った様々な活動が展開されています。このような地域活動に必要なコミュニティ組織が設立されていない3つの地区については、引き続き柔軟な形での設立に向けた支援等を行います。
 男女共同参画の推進について、男女が互いを尊重し心豊かにいきいきと暮らせる社会を実現するため、市民の皆さまを対象とした講座や講演会の開催、市職員への研修の実施、また、男女共同参画に関する作品を募集するなどの啓発活動を行います。
 昨年、市内各地区において開催しました「市長と語ろう まちづくり」では、市政に関して市民の皆さまからの率直なご意見を頂戴することができました。平成31年度においても、市民の皆さまと行政との双方向コミュニケーションの機会を数多く設けることを予定しています。

2 健康福祉「互いに支え合う古河(まち)をつくる」について

 障がい者やひとり暮らしの高齢者等が、災害発生時に地域の住民等の支援を得ながら避難することができる体制を整備するため、一人ひとりの実情に即した個別支援計画の作成を進めます。これにより、災害が発生した際にどのような行動をとればよいかの確認、地域住民の共助による支え合いの重要性など、災害への備えに対する意識の高揚を図ります。
 障がい者等の社会参加への支援として、内部障害や妊娠初期などの方が、外見からは分からなくても、援助や配慮を必要としていることを知らせることができる「ヘルプマーク」や、障がいのある方等が周囲に自己の障害への理解や支援内容を表示することができる「ヘルプカード」を導入し、その普及に取り組みます。
 高齢者が安心して暮らし続けられるよう、在宅医療や介護を切れ目なく提供できる体制の構築を推進します。さらに、医療や介護関係者間の情報共有の支援、専門職への研修を実施するなど、医療と介護の連携を強化します。
 子育て拠点施設の整備について、上辺見保育所の移転改築工事が間もなく完了し、4月から新たな施設運営を開始します。この保育所は最大で180人の児童を受け入れることが可能な機能を有しており、待機児童の解消に大きく寄与するものと期待しています。今後も公立保育所において十分な受け入れができるよう、保育士の適正配置及び確保を進めます。また、保育所西側の用地においては、民間資金の活用により子ども家庭総合支援センター等が整備されるよう、民間事業者の募集等を開始する予定です。
 子育て世帯の経済的負担の軽減を目的に、これまで実施してきたインフルエンザ予防接種の費用助成に加え、新たに任意接種であるロタウイルス及びおたふくかぜの予防接種費用の一部について助成します。これにより、ウイルスのまん延や感染症の重症化を防ぎ、子どもたちの健やかな成長を支援します。

3 教育文化「人が育ち文化の息づく古河(まち)をつくる」について

 放課後児童クラブについて、近年の利用ニーズに対応するため、下辺見小学校及び諸川小学校の児童クラブにおける単位数を、それぞれ1単位増設します。下辺見小学校では校舎内の教室の一部を活用することとし、諸川小学校では学校敷地内の既存の児童クラブに隣接してレンタル方式により新たな施設を整備します。
 小学校3年生から6年生までを対象としたイングリッシュキャンプについて、昨年の開催が大変好評であったことから、平成31年度は、より多くの児童が参加できるよう、開催回数を全3回に増やし実施します。オールイングリッシュでの生活体験を通し、児童がからだ全体で生きた英語に触れることで、国際感覚やコミュニケーション能力の向上を図ります。
 次世代を担う子どもたちの自由な発想に基づいた体験活動への助成として、昨年10月に「古河市子ども夢交付金」を創設しました。この交付金を多くの活動でご活用いただき、子どもたちのコミュニケーション能力の向上や人間性豊かな育成に繋がることを期待しています。
 本年9月に「いきいき茨城ゆめ国体2019」が開催されます。古河市では、古河はなもも体育館において8月31日と9月1日の2日間、公開競技の「綱引競技」が、9月8日にデモンストレーションスポーツの「少林寺拳法」が行われます。これまでの準備を活かし、大会を成功に導くとともに市民のスポーツ意識を醸成する契機とします。
 古河市サッカー場において、コート全面の人工芝生化を実施します。これまで天然芝の管理に必要な養生期間として、年間において数か月間利用を制限させていただいていたものが、人工芝生化により年間を通してご利用いただけるようになります。これにより、市民の利用率向上、市内サッカー競技団体の活性化や技術向上に資するものと考えます。

4 産業労働「活力と賑わいのある古河(まち)をつくる」について

 古河市に関心を持ち、ふるさと納税をしていただいた方を対象に、平成30年度から市内観光ツアーを実施しています。平成31年度においても、市独自の観光資源を活かしたツアーを企画し、多くの方に市を訪問していただくことで、寄附者と古河市との距離を縮め、継続的な繋がりの創出を図ります。
 観光及び商工業の振興について、平成31年度も年間を通して様々なイベントや伝統的なまつりを開催します。特に、春の古河桃まつりの開園式では、平成最後の記念イベントとして特別なゲストをお招きすることを予定しています。今後も、県内外に古河市をPRし、交流人口の増加や市内商工業の活性化を図ります。
 企業誘致について、これまでの茨城県や圏央道沿線の自治体との連携によるPR、また、直接企業への働きかけを行ってきた効果の一端として、物流施設の開発や運営の大手であるプロロジスが、北利根工業団地において、さらなる開発に着手することとなりました。さらに、日野自動車古河工場内に、日野グループの架装メーカーである株式会社トランテックスが新たに進出することとなりました。2年後には、約300名の従業員での稼働が開始される予定です。今後も引き続き、企業誘致を積極的に推進します。
 昨年、開業5周年を迎えた道の駅まくらがの里こがについて、古河産の農産物を中心として大変なご好評をいただいており、週末や祝日には、駐車場が満車になることも多くあることから、より多くの皆さまが安全に駐車場をご利用いただけるよう、駐車場の拡張を行います。
 県の青果物銘柄産地や花き銘柄産地として、古河市の「にんじん」、「ニガウリ」、「サニーレタス」、「バラ」が指定されています。これらを中心として、市内外での各種イベント等でのPRに、食の専門家を活用するなど、市の農産物の知名度向上やブランド化の推進を図ります。

5 生活環境「安全で快適な古河(まち)をつくる」について

 防災体制の強化として、大規模災害等からの被害を最小限に抑え、迅速な復旧や復興に係る施策を計画的に推進するため、県内市町村では初の地域計画となる「古河市国土強靱化計画」の策定を進めています。今後、この計画に基づく施策を各分野において展開し、「安全で回復力のある強くしなやかな古河市」を目指します。
 地震等の災害発生時において市役所の非常時優先業務の継続性が確保できるよう、防災拠点となる各庁舎について、平成31年度から順次、非常用電源の整備を進めます。また、災害時に人材や物資等に制約を受ける場合にあっても、必要な行政機能や災害対応が維持できる体制づくりを進めます。
 消防団員の確保や加入促進を図るため、道路交通法の改正によりポンプ車が運転できない消防団員が準中型免許等を取得するにあたり、その費用を助成する制度を4月から開始します。また、消防団員を地域ぐるみで応援する制度として、地域の協力店舗において消防団員及びその家族が一定のサービスを受けられる「消防団応援の店」を同じく4月から開始します。
 古河駅西口地区における常備消防施設の整備について、現在用地の取得が進んでおり、平成31年度は施設の設計を行うなど、茨城西南地方広域市町村圏事務組合との協議を行いながら、消防施設の早期完成を目指します。
 災害時における関係機関の相互連携の強化や住民の防災意識の向上、また、防災活動の円滑化を図るため、現在調整中ですが、自衛隊をはじめ、警察や消防、医療機関等の防災関係機関の参加のもと、茨城県との共催による総合防災訓練を実施する予定です。
 古河市斎場について、長年に渡る稼働に伴い設備の老朽化が著しく、大規模な改修が必要なことから、現在、「古河市斎場施設改修基本計画」を策定しているところです。平成31年度は、周辺地域の皆さまのご意見も伺いながら、火葬炉の改修及び高性能な集じん機等の設置に向けた設計に着手します。

6 都市基盤「魅力的で利便性の高い古河(まち)をつくる」について

 運転に不安のある高齢者の運転免許証の返納を促すとともに、公共交通の利用への転換を図るため、運転免許証を自主返納した高齢者を対象に、循環バス「ぐるりん号」の回数券や、デマンド交通「愛・あい号」のチケットを交付します。また、「ぐるりん号」のさらなる利便性向上のため、三和庁舎直行便の再開を含めた運行ルートやダイヤの見直しを行います。
 (仮称)南古河駅の設置について、中長期的な人口減少が予測される中、収益性の確保や駅舎等の建設費用の財源確保、新駅周辺の区画整理事業によるまちづくりの推進など様々な課題を抱えております。課題解決に向けて、地元住民の皆さまや市民の皆さまと情報を共有しながら具体的な検討、研究を進めます。
 身近な生活道路の整備について、平成31年度は道路新設改良工事22路線、道路補修工事37路線、橋梁修繕工事3橋を実施するほか、用地測量4路線を実施します。また、老朽化した道路施設の破損箇所を早期に発見し計画的な補修を行うため、219橋の橋梁長寿命化修繕計画の策定や9路線の舗装修繕調査を実施します。
 古河駅東部土地区画整理事業について、西牛谷辺見線と国道125号との交差点における信号機の設置が1月24日に完了したため、国道125号から旭町今泉線までの区間の供用を開始しました。今後は、県の事業として実施している十間通り「仲の橋」の架替え工事に併せて、西牛谷辺見線と十間通りとの暫定接続工事に着手する予定です。
 仁連工業団地の整備について、早期の事業完了を目指して、平成31年度は工業団地内の道路関連工事等を実施します。また、併せて仁連江口線における三和交番前交差点から工業団地までの区間の道路整備を進めます。引き続き、関係工事を着実に進め、立地ポテンシャルを活かした産業拠点の形成を図ります。

7 行財政「古河(まち)づくりを支える行政経営」について

 市役所の窓口サービスの拡充について、パスポートの申請及び交付のための窓口を、現在、古河庁舎において平日のみ実施しているところですが、4月から新たに同庁舎で毎月第2日曜日においても窓口を開設し、さらなる利便性の向上を図ります。
 市の魅力を市内外に発信するシティプロモーションとして、「古河市に住んでみたい、住み続けたい」という移住や定住についての市のブランドイメージを確立するため、インターネット上の専用シティプロモーションサイト及びSNSサイトのインスタグラムなどにおいて、市の風土や四季折々の魅力に関する画像や動画を随時配信します。
 リアルタイムで市の情報を発信するためのスマートフォン用自治体アプリの開発が進み、4月からご利用いただける見込みです。子育て日記帳やごみ出しカレンダー、観光ルート案内などの便利な機能を備えた市のアプリを、ぜひご利用ください。
 市の最上位計画である第2次古河市総合計画について、これまで推進してきた第1期基本計画の計画期間が平成31年度で終了することから、第2期基本計画の策定に着手します。新たな基本計画においても、市民の皆さまとの協働により、時代のニーズに即した施策等を策定します。
 市役所の組織体制について、市民満足度の向上と業務間の連携の強化を図る観点から組織の改編を行います。特に、これまで各課において行ってきた市内外への情報発信について、企画政策部内に「シティプロモーション課」を新設することで、横断的かつ効果的な営業戦略を展開します。

(むすびに)

 以上、新年度における市政運営の基本方針及びそれに基づく主要施策等の概要について申し述べました。
 人口減少、少子高齢化といった、かつて誰も経験したことのない、この新たな時代を乗り越えていくためには、先人たちによって築きあげられてきた礎を、さらに強固なものにしなければなりません。
 私が市長に就任して3年目となる本年を「未来(あした)を切り拓く挑戦の年」ととらえ、困難な課題にも果敢にチャレンジし、将来の古河市発展に向けて全力で取り組んでまいります。
 議員各位をはじめ、市民の皆さまのご理解とご協力をいただきながら、未来に誇れるまちづくりを市職員とともに全力で進めてまいります。
 本議会におきましては、補正予算、新年度予算、条例案など多くの議案を上程しております。慎重なるご審議の上、各議案のご承認をいただけますようお願い申し上げ、平成31年度の施政方針といたします。

平成31年2月21日

古河市長 針 谷 力

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