篆刻について

更新日:2020年11月30日

生井子華刻「游刃有餘地」

生井子華「游刃有餘地」印章

印章

生井子華刻「游刃有餘地」印面

印面

生井子華刻「游刃有餘地」印影

印影

篆刻について

篆刻とは、自ら印章を彫る行い、および、刻した印面に印泥をつけて紙に捺した印影と印章本体を鑑賞する芸術のことを言います。 古い時代の印章は金属(金・銀・銅…等)、玉(水晶・翡翠・瑪瑙…等)、動物の角・牙・骨…等の硬質な素材で専門の職人によってのみ作られていましたが、中国明代に加工しやすい石材が登場して以降誰でも印を制作することが可能になり、篆刻が普及発展しました。 印章はメソポタミア文明を起源に発し、紀元前にシルクロード経由で中国に伝わったとされています。日本での本格的な使用は遣隋使・遣唐使により律令制度が持ち込まれた時代からで、以後独自の発展を遂げ現在の日本独特の印章文化にいたっています。

篆刻用語

篆刻用語
篆書体[てんしょたい]   篆刻によく使用される漢字の書体。古代文字。広義には秦代より前に使われていた書体全てを指す。
 小篆[しょうてん] 篆書体の一種。秦始皇帝が国家統一に際して制定した統一文字。縦に細長い形が特徴。
 印篆[いんてん]  篆書体の一種。小篆の縦横の比率を同じにして印章に使いやすくした書体。
 印影[いんえい]  印面に印泥をつけて紙面に捺したもの。
 朱文印[しゅぶんいん]  文字を陽刻(凸状)に刻した印で、紙に捺すと文字が朱色の線となる。陽刻印ともいう。
 白文印[はくぶんいん]  文字を陰刻(凹状)に刻した印で、紙に捺すと文字が白抜きの線となる。陰刻印ともいう。
 鈕[ちゅう]  印材の持ち手の部分。観賞用に彫刻が施されているものもある。

篆刻の道具

篆刻の道具
印材[いんざい]  文字が刻めるものなら何でも印材になるが、石印材が最も篆刻に適している。篆刻用の石印材は中国産が多く、寿山石・青田石・巴林石が安価で刻しやすい。
 印刀[いんとう] 篆刻用の刀は書における筆と同じもので、鉄筆ともいう。片鋒(片刃)と中鋒(両刃)があり、石印材には主に中鋒(両刃)が使われる。幅8ミリメートル ~10ミリメートル程度のものが使いやすいとされている。
 印床[いんしょう] 印材を固定する台。刻する際に印材が安定し、安全に作業することができる。
印泥[いんでい]  篆刻用の朱肉。朱砂(しゅさ)・艾(もぐさ)・ヒマシ油などから出来ている。粘り気があるのでよく練って団子状にしてから使う。乾燥や腐敗を防ぐため、高温多湿と直射日光を避けて風通しの良い場所に保管する。定期的に練り直すなどの調整が必要である。
 印矩[いんく] 印を捺すときの定規。位置を決めたり二度押しするときに使う。
 印褥[いんじょく] 印を捺すときの台。専用の既製品もあるが、ノートや厚紙などで代用できる。ガラス板の上に紙を数枚重ねるのもよい。
 印箋[いんせん] 印を捺すための紙。表面は滑らかで油をよく吸収する薄手の紙が良いとされる。印影の保存・鑑賞に適した枠や文様が印刷されたものもある。
 耐水ペーパー 耐水性のサンドペーパー(紙やすり)石印材を刻する前に印面を平らに整えるために使う。#100、#400、#800くらいを用意すればよい。その他、#1000~#2000もあれば鈕の表面磨き仕上げ用として使える。 
この記事に関するお問い合わせ先

古河市 篆刻美術館
所在地:〒306-0033 茨城県古河市中央町2丁目4番18号
電話番号:0280-22-5611
ファックス:0280-22-5915
篆刻美術館へのお問い合わせ